トップ > カルチャー > 記事

ここから本文

カルチャー

<おはよう出番です> 加山雄三

加山雄三

写真

 湘南の海の明るくロマンチックな雰囲気に、青春や恋愛が絡む。そんな楽曲群は「湘南サウンド」と呼ばれ、自身が創始者とされる。23日に名古屋・栄の愛知県芸術劇場大ホールで公演するのを前に、サザンオールスターズ、TUBEへと受け継がれた旋律の原点を語った。

 幼少時には、湘南・茅ケ崎の自宅の窓から、水平線が望めた。海辺の記憶は「三歳くらい」が最も古い。「周りの海水浴客の中で、俺だけ水着のパンツを履いていない。戸惑った」と笑った。明るい海は台風が来ると一転、猛々(たけだけ)しい波の牙をむく。「怖いけど、激しさに全身でぶつかりたい誘惑にも駆られた」という。

 十四歳の時に板と角材で二メートル余りのボートを自作。一・四キロ沖合の無人の小島「えぼし岩」に上がり、海岸を眺めた。「ぺったんこで、松林が見えて。この風景が、海を楽しむ原点」

 芸能界に入ったのも、海好きが高じてのことだ。大手ビール会社などへの就職を志望していた慶応大四年の時。将来は父で俳優の上原謙の知名度を生かして芸能活動で稼ぎ、船を買え−。アマチュアバンド仲間の言葉に、「頭にランプがついた」。俳優や歌手としてデビューし、実力で人気を博した。プレジャーボートを購入して光進丸(こうしんまる)と名付け、海の世界に浸った。

 順風満帆ではなかった。一九七〇年に経営していたホテルがつぶれ巨額の負債を抱えた。二年前には三代目の光進丸が全焼した。

 そんな時に足を向けたのが、やはり海。「苦しみも悲しみも、海の歴史や大きさに比べると、小さなものに思えてきて」と語る。

 一般に湘南サウンドの原点とされるのは、自身が演奏した「ブラック・サンド・ビーチ」(六五年)。しかし、同曲をはじめ一連の楽曲を作る際に、海を意識することは「全然なかった。元祖なんて言われるもんじゃない」と明かす。

 一方で、「湘南サウンドっていい響き。湘南の曲を歌ったと言われることはうれしい。サザンやTUBEにも、いい曲がいっぱいある」。サザンやTUBEも敬意を示してきた八十二歳の「若大将」は、茅ケ崎の物語を紡ぐ後輩たちの活躍に、目を細めた。

 (林啓太)

 <かやま・ゆうぞう> 1937年、神奈川県生まれ。60年に映画「男対男」で俳優デビューし、翌年から音楽活動も開始。65年に「君といつまでも」を歌い、大ヒット。愛知県芸術劇場大ホールでの公演は午後4時半開演。8000円。(問)サンデーチケットセンター=電052(320)9000

 

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索