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太宰の遺作、舞台版を映画化 主演・大泉洋、ユーモア抑え冷静に

「コメディーだが、僕の中では、太宰に漂う悩みや暗さを持っていた」と語る大泉洋=名古屋市内のホテルで

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 太宰治の未完の遺作を題材にした映画「グッドバイ 嘘(うそ)から始まる人生喜劇」が十四日、公開される。二〇一五年に好評を博した舞台が、スクリーンで生まれ変わる。複数の愛人との関係清算に走る主人公役に大泉洋。「バカバカしい人だなあと。どうして愛されたのか分からない」と皮肉るダメ男を、滑稽に演じた。

 原作「グッド・バイ」の主人公は、太宰本人がモデルとも言われる。敗戦から復興へと歩む昭和の時代、編集者のかたわら闇稼業でもうける田島が、愛人たちと別れ、疎開させたままの妻子を呼び戻そうと心機一転を図る。女たちと穏便に手を切るには。闇市の力仕事で稼ぐ大食いで悪声、だが絶世の美人、キヌ子に妻のふりをしてほしいと協力を仰ぐ−。

 太宰はここまで執筆した直後に入水自殺。ケラリーノ・サンドロビッチ脚本・演出の舞台は絶筆作品の先を描き、三者三様の愛人たちとの決別、どこか憎めない田島の流転とキヌ子との関係を軽妙に展開させた。仲村トオルが演じた田島役を映画で任された大泉は、舞台の面白さを認めた上で「トオルさんの芝居を、僕ができるもんじゃない」と割り切った。

 女性にモテる二枚目役かと思いきや、成島出監督のイメージは違った。「『イヌのように腰を振れ』『恍惚(こうこつ)の表情を浮かべて』と指示されて、どんどん変態になっていった」とやや不満げ。ただ要求は明確で、安心感があったという。「お任せだと言われると、不安になっちゃうんだよね。早くOKが出ると『本当に?』と思ったり。マイナス思考だから」

 舞台から続投したキヌ子役の小池栄子とは「二人のテンポがもともと速くて、気持ちいい」と相性が良い。カット割りは多用せず、長回しの一シーン一カットが効果的に取り入れられ、集中力を保てた。「喜劇は置かれた状況が面白いわけで、それを忠実に表現しようと。ついやりすぎる面があって、面白くしたいと思っちゃう。バラエティーをやってる大泉洋が出がちだから、気を付けました」。持ち前のユーモアを抑制した冷静な芝居が、笑いの精度を高めている。

 (古谷祥子)

 

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