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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 イングランド王ヘンリー五世は一介の兵士にふんし、部隊を訪ねる。シェークスピアの史劇『ヘンリー五世』の一場面だ。身分を偽ったまま他の兵士に打ち明けるように語った。<王だって一人の人間に過(す)ぎない…スミレは王にも俺にも同じ匂いがする…怖がる理由があれば、間違いなく私たちと同じ怖さを味わうのだ>

▼容易に表に出すことはできないが、人間である以上、つらいこともあるのだ。そんな王ゆえの孤独感もにじむせりふだろう

▼現代のヘンリー王子にとって、英王室の一員ゆえに味わう苦しみは、人としてたえがたい域にあるということのようだ。メーガン妃とともに、王室の主要な公務から退くという意向を示していたが、祖母のエリザベス女王はこれを了承する考えを明らかにした

▼夫妻は執拗(しつよう)な取材に強い不満を持っていたという。パパラッチに追われ、交通事故で亡くなった王子の母、ダイアナ元妃の悲劇も胸中にあっただろう

▼米国出身で離婚歴があるメーガン妃を中傷するような報道にも苦しんでいた。収入など多くの問題が残されているが、夫妻はいずれ独立した生活をすることになるのか

▼「正式な王室メンバーとして残ってほしかったが…」。九十三歳のエリザベス女王の声明には、孫夫婦が遠くに行ってしまうことへの寂しさがにじんでいるようだ。一人のおばあちゃんとしての心情であろう。

 

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