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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 一九〇四年の米セントルイスでの万国博覧会。場内で売っていたアイスクリームが人気となった。店主は喜んだが、悩んでいた。皿が足らない

▼一方、隣の焼き菓子屋は客が来ないで悩んでいた。思い付く。ワッフルをクルクルと巻き、アイス屋に差し出した。「これに盛り付けて売りませんか」。諸説あるが、これが今では欠かせぬアイスとコーンの出会いという

▼この伝説を重ねたくなる、今年のノーベル化学賞である。リチウムイオン電池を開発した吉野彰さん、ジョン・グッドイナフ米テキサス大教授ら三人の受賞が決まった

▼電池を開発する上での難問は電極にいかなる素材を組み合わせるかだったそうだ。こんなドラマがある。グッドイナフさんはプラス極にはコバルト酸リチウムが適していることが分かっていたが、マイナス極で悩んでいた。一方の吉野さん。マイナス極はポリアセチレンなるプラスチックが適していることを見つけていたが、プラス極で苦しんでいた

▼研究者の悩みは一気に解決した。双方が発見したプラス極とマイナス極を組み合わせた結果、充電も放電もうまくいったのである。あの電池の原型である

▼悩める人同士が手を握ることでパッと灯(とも)る知恵のランプもあろう。小型で充電できる強力な電池は携帯電話やパソコン、電気自動車にと世界中に広がっていった。アイスとコーンのように。

 

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