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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 インド北部ラダック。ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈にはさまれた山岳地帯にあって、人口は約二十九万人。かつては独立王国だったが、十九世紀に滅ぼされ、その後、インド領になった

▼言語学者、吉岡乾さんの『なくなりそうな世界のことば』(創元社)の中にラダック語の「ショチャン」が紹介されていた。意味は「怒りっぽい人」だそうだ

▼チベット仏教の影響が強いラダックでは「穏やか」であることが美徳とされており、それとは反対の「ショチャン」と呼ばれるのは、「最も屈辱的」なことになるらしい

▼ラダックを含むインド北部ジャム・カシミール州が揺れている。インド政府が同州に対して長年認めてきた自治権を剥奪し、直接統治することを決めた

▼約八割がヒンズー教徒のインドにあって同州はイスラム教徒が多数派。ヒンズー至上主義に走るモディ首相にとって直接支配は悲願だったが、今回の決定でカシミール地方の領有権をめぐり、三度まで戦火をまじえたパキスタンが強く反発し緊張が高まっている。両国とも核保有国である

▼同州に自治権を認め、実質的な中立地とすることでパキスタンとの間で微妙なバランスを保ってきた経緯がある。同州をイスラム過激派の拠点と決めつけ、直接統治とは一方的すぎる。パキスタンにも自制を求める。「ショチャン」に対し「ショチャン」では何も解決せぬ。

 

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