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中日春秋(朝刊コラム)

中日春秋

 「1・29・300」。行きつけのラーメン屋さんで、そんな数字がちらりと見えた。厨房(ちゅうぼう)の壁の真ん中にある張り紙だ。店を出て気付いたが、「ハインリッヒの法則」である。近年よく目にするようになった言葉と三つの数字だった

▼一つの重大事故の背後に二十九の軽微な事故があり、三百件の異常も隠れる。事故を未然に防ぐ「予防安全」のためには、この二十九と三百を捉えて分析すること。米国の保険会社のハインリッヒ氏が百年近く前に提唱した経験則だ。日本の小さな店にまで浸透しているのはその説得力ゆえだろう。喜ばしいことに違いない

▼こちらは、「2」。同じ型の航空機による重大な事故の数である。わずか五カ月の間にボーイングの737MAXがインドネシアとエチオピアで墜落した。異例の事態だ。納入予定のある日本を含め同型機の運航停止の動きが世界で広がっている

▼ボーイングは安全を強調するが、二件に似た点もある。一昨年市場に投入されたばかりのモデルである。運航停止はうなずけよう

▼関連はないのか。背後に軽微な事故や異常はなかったのか。あったなら、あの法則の精神は生かされていなかったか。疑問も湧く

▼予防安全に対し、犠牲者が出た後に追求する「墓石安全」という言葉がある。「346」。二つの事故の犠牲者の数だ。今もっとも意識されるべき重い数字ではないか。

 

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