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社説

春節明け大移動 肺炎封じ込めの正念場

 中国では延びていた春節(旧正月)休暇明けUターンが来週にかけて本格化する。専門家は今月中−下旬が新型肺炎拡大のピークになるとみるが、大都市ではリスクが高まる。封じ込めの正念場だ。

 被害が最も多い武漢市のある湖北省の死者は十三日、千三百十人になった。一方、同省に隣接しておらず上海市の南隣に位置する浙江省でも感染が広がり、日本政府は同省に滞在歴のある外国人を入国拒否の対象とした。

 浙江省南部の温州市を拠点に、大陸各地での不動産投資などで財を成した「温州商人」が武漢市には約十八万人暮らすとされる。春節で二万人近くが温州市に帰省したことにより、浙江省は湖北省に次ぐ感染多発地となったようだ。

 中国では三日の春節休暇明け後も操業停止を続けた企業が多い。さらに、多くの出稼ぎ労働者が移動制限で地方に留め置かれており、来週前半までに一億六千万人余が帰省先から北京、上海などの大都市に戻ると見込まれる。

 巨大な人口を抱える大都市でいかに感染拡大を防げるか、この数週間が中国の正念場となろう。

 中国では、住宅街の「社区」と言われる居住区の入り口に検問所を設け、身分証のチェックや検温を実施しているところが多い。外部の人の出入りを厳禁としている社区もある。

 こうした共産党の厳しい指導による罰則も伴う「封鎖式管理」が、感染拡大防止に効果をあげていることは否定できない。習近平国家主席は「中国の制度的優位が明らかになった」と自画自賛。

 だが、厳格すぎる管理に反発した住民と当局者の小競り合いや暴行事件も頻発している。さらに、都市戸籍や定住所のない出稼ぎ労働者の管理は容易ではない。

 習氏は十日、北京の病院や防疫現場を初めて視察し「果断な手段」での感染抑え込みを指示した。感染拡大防止は中国の重い責務とはいえ、人権を侵害するような強権的な管理が決して正当化されるべきではない。

 中国では、三月五日に全国人民代表大会(全人代=国会)が開幕する予定だ。全国各地から三千人余の代表と多くの関係者が北京に集まる会議を開けば、まん延のきっかけにもなりかねない。感染拡大の影響で食品生産や物流が滞り、一月の物価は前年同月より5%以上も上昇した。何よりも感染対策を優先させ、全人代の延期や期間短縮も考えるべきであろう。

 

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