トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

社説

IR基本方針 先送りでなく白紙に

 政府は統合型リゾート(IR)についての基本方針決定を先送りする。参入に絡む汚職事件摘発が理由だが、そもそもカジノを中心としたIRを望む声は少ない。白紙撤回が正しい道ではないか。

 IRをめぐっては、所管官庁の副大臣を務めていた秋元司容疑者(衆院議員)が逮捕された。ただ政府は計画自体を進める構えを崩しておらず、先送りは世間の動向を見極めるためなのだろう。

 カジノは十八世紀、ルイ十五世治世下のフランスが起源とされる。一九三〇年代には米国の一部で合法化。その後、ラスベガスを中心にホテルや娯楽施設を併設したIRとして発展し、各国にも広がった。

 ただ娯楽施設併設といっても軸はカジノだ。富裕層がカジノで落とす金が利潤の中心だ。

 IRでは、宿泊代が無料になるなど、上客に対しさまざまな特典を与える仕組みがある。つまりカジノは富裕層に照準を合わせた遊び場といっていいだろう。同時に合法的な賭博を利用したマネーロンダリング(資金洗浄)の危険も指摘されている。

 日本では競馬など公営ギャンブルを除く賭博行為は禁止されている。賭博は反社会的勢力との関係が深い上、ギャンブル依存症の温床となるためだ。IRの整備は、違法行為の解禁に直結することを強く指摘しておきたい。

 IR整備に伴う利権が国内外で広がり、秋元容疑者以外にも複数の国会議員の名が取り沙汰されている点も見逃せない。日本のIR計画には米中など各国企業が強い関心を寄せている。巨大利権の渦の中に不正があるとすれば、計画の推進以前に、その摘発と全容解明を最優先すべきだ。

 政府は関連業者と公務員との癒着などを防ぐ対策を検討している。しかし、すでに計画段階で政治レベルでの汚職事件が表面化している。こうした状況下で、不正や癒着を防ぐ有効な対策があるのか極めて疑問だ。

 さらにIRが観光に寄与するとの主張にも同意できない。海外からの観光が好調なのは、日本の文化伝統や自然、買い物などが人気を呼んでいるためだ。すでにカジノは各国に存在し、訪日客が増えるかは未知数といわざるを得ない。

 世論調査をみればカジノについて多くの国民が強い懸念を持っていることは明らかだ。野党も禁止法案を提出した。国民が求めていない政策を進める道理はない。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索