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社説

日産新体制 合理化の検討は慎重に

 日産自動車の新経営体制が今月スタートした。元商社マンの社長を軸に「脱ゴーン」化を図る戦略だ。ただ車業界が大変革期にある中、出遅れ感が否めない日産の行く手には課題が山積している。

 前会長のゴーン被告が失脚して一年が過ぎた。後を継いだ西川(さいかわ)広人前社長はゴーン体制で頭角を現した人物だ。自らの不正報酬問題で辞任したが、企業統治改革を断行するには無理のある後任人事だったと言わざるを得ない。

 社長兼最高経営責任者(CEO)に就任した内田誠氏は同志社大学神学部卒で総合商社の日商岩井(現双日)から日産に転じた。中国事業など海外部門が長くルノーとパイプを持つ国際派だ。

 インド出身のグプタ最高執行責任者(COO)はホンダやルノーを経て提携先の三菱自動車COOだった。副COOとなった関潤氏は防衛大学校卒業後、日産に入り、合理化策などを進めてきた。

 個性的ともいえる経歴を持つ三人の新経営陣の人選は、独裁色が強かったゴーン体制からの脱却という意味では評価できる。

 だが日産には多くの課題が待ち受けている。車業界にはCASE(ケース)と呼ばれる波が押し寄せている。Cはコネクテッドの略でインターネットと車を接続してさまざまなサービスを展開する事業だ。Aは自動運転、Sは車を共有するカーシェアリング、Eは電気自動車だ。

 ライバル企業はCASEを念頭に異業種間の提携を積極的に進めている。とくにこの一年、各社の動きは活発だった。しかし、日産は新車投入さえ遅れ気味だった。二〇二〇年三月期の連結純利益も十年ぶりの低い水準に落ち込む見込みとなった。やはりゴーン後の「失われた一年」ともいえる混乱が響いたと指摘されても仕方がないだろう。

 今後、日産は連合を組むルノーや三菱自動車とCASEに向き合うことになる。ただルノーがより多く日産株を持つ資本関係は変わっておらず、連合内の火種となる可能性は依然残る。新経営陣にはルノーとの関係再構築が最優先課題となる。

 さらに指摘しておきたいのは人員削減策が浮上している点だ。人員カットは当面の業績改善に向け有効だが、最も安易な策でもある。新経営陣には、関連企業を含め多くの人々の雇用を支えている現実を強くかみしめながら経営再建にあたるよう強く求めたい。

 

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