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社説

関電トップ辞任 公益企業の自覚あるか

 関西電力の八木誠会長が辞任した。原発がある町の元助役から金品を受け取った問題の責任を取った。ただ辞任は遅きに失しており、公益企業トップとしての自覚を問いたださざるを得ない。

 八木氏や岩根茂樹社長を含む関電の役員ら二十人は、高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役(故人)から総額三億二千万円相当の金品を受け取っていた。

 関電はこの問題を昨年九月にまとめた内部報告書で把握していながら、税務調査で発覚するまでの約一年間公表していなかった。さらに八木、岩根氏は、今月二日の記者会見でも続投の意向を表明していた。

 今回辞任を決めたのは経営責任を問う声が収まる気配をみせなかったからだ。辞任で批判をかわそうとする狙いが透けて見える。

 だが原発立地自治体の幹部だった人物からの金品受領は批判を受けて当然で、経営トップが直ちに引責辞任するケースのはずだ。関電経営陣の進退をめぐる判断は極めて甘いと断じていいだろう。

 関電は第三者による調査委員会で問題を調べ直し、年末までに内容を報告する。岩根社長は報告後に辞任する意向だ。だが岩根氏自身金品を受領しており調査対象となる人物だ。八木氏と同時に辞任するのが筋ではないか。

 電力会社は地域独占が許されている。生活や産業に絶対欠かせない電力という社会基盤を供給しているからだ。台風15号の影響により大規模な停電が起き、生活が根底から崩された千葉県の一部地域の状況をみて、国民は電力の重要性を改めて認識したばかりだ。

 地域独占である故に電力会社は民間企業が通常向き合う競争原理から外れている。コスト削減努力を免れ、かかったコストは電気料金に転嫁することもできる。

 公益事業のみが許される甘い環境にあぐらをかき経営判断を間違えたのなら、関電は体制の全面刷新を視野に入れた解体的出直しが必要だろう。

 今回の問題発覚で原発の地元自治体と電力会社の癒着が浮かび上がった。ただ調査は緒に就いたばかりで金品受領の範囲が拡大する可能性は強い。問題の深層が解き明かされることを期待したい。

 同時に関電のみならず原発を抱える全ての電力会社は、立地自治体との関係を精査し問題があれば直ちに公表すべきだ。社会全体のための公益事業が金銭癒着の温床であってはならない。  

 

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