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社説

’19参院選 イラン沖の警備 「専守」枠内で知恵絞れ

 トランプ米政権がイラン沖のホルムズ海峡などの海上を警備する有志国連合の計画を表明した。日本はそもそも参加すべきなのか。参加するとしても何をすべきなのか。憲法九条の専守防衛の枠内で与野党が知恵を絞り、参院選で国民に問うべきだ。

 きっかけは、トランプ米大統領によるツイッターでのつぶやきである。

 ホルムズ海峡近くで六月、日本の海運会社が運航するタンカーなど二隻が攻撃されたことに関し、「日本や中国など多くの国はホルムズ海峡を経由して原油を輸入しているのになぜ米国が長い期間、無償で他国のために輸送路を守っているのか」と書き込んだ。

 この発言を受けてのことなのだろう。米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長が今月九日、有志国連合を結成する案を明らかにした。今後二、三週間で参加国を見極めるという。

 ホルムズ海峡は、日本が輸入する原油の八割以上が通過する海上交通の要衝だ。米国からの打診の有無にかかわらず、日本政府として何らかの対応は必要だろう。

 しかし、政府は「イラン情勢を巡り日米間で緊密にやりとりしているが、詳細は控える」(野上浩太郎官房副長官)と、詳細を明かそうとしない。国民への説明責任を果たしていないのではないか。

 有志国連合に自衛隊を派遣することになれば、日本の安全保障政策の根幹に関わる重要な局面だ。

 安倍政権が、参院選での論争を避け、選挙後に有志国連合への参加を決めるために詳細を明かさないとしたら、有権者を欺く行為であり、断じて見過ごせない。

 有志国連合が結成され、各国軍が展開することになれば、イラン沖や紅海など中東地域の緊迫を逆に高めてしまうのではないか。

 安倍晋三首相は、成否は別として対立する米国とイランの仲介役を担ってきた。米国が呼び掛ける有志国連合に自衛隊を派遣すればその役割を果たせず、伝統的な友好国のイランとの関係も損ねる。

 有志国連合への自衛隊派遣には法的根拠が必要だ。自衛隊法の海上警備行動や海賊対処法、安全保障関連法にある国際平和支援法が想定されるが、現行法では難しい。特別措置法をつくるとしても専守防衛という憲法九条の枠内で対応するのは当然だ。

 まずは外交努力を続け、有志国連合結成や自衛隊派遣による緊張の高まりを回避する。それが平和国家・日本の進むべき道だろう。

 

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