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社説

統計不正調査 やはり隠蔽の疑念残る

 毎月勤労統計の不正問題を調査していた特別監察委員会は、追加調査の結果を公表した。やはり組織的な隠蔽(いんぺい)は認定しなかった。監察委の独立性が疑問視されている。額面通りには受け取れない。

 追加調査でも疑問は残った。

 二〇〇四年から、全事業所を調査すべき東京都内の大企業を一部の抽出調査にしていた。減らしたデータの復元作業もしていなかった。ところが一八年一月から復元したため賃金がそれまでより高く算出された。

 誰がどんな動機で始めたのか、それが長年放置されたことはなぜか。厚生労働省に組織的隠蔽はなかったのか。なぜ、突然データを復元したのか。

 これらが知りたいことだが、前回の報告書から解明が前進した部分はほぼないと言っていい。

 この不正とは別に中規模事業所の調査手法を一八年一月に変えたことで賃金が上振れした。これはアベノミクスの成果を強調したい政権の関与があったと疑われている。この疑惑については検証すらしなかった。

 新たな疑問がある。

 追加報告書では、隠蔽行為を「違法行為を認識しながら意図的に隠そうとする行為」と定義、これに照らし隠蔽は認定しなかった。

 しかし、担当者が大企業が抽出調査だったことを知りながら有識者検討会の場で全数調査だと説明したり、別の担当者が抽出調査が不正だと認識していたため総務省に説明できなかった事実がある。

 監察委は今回、これらを事実と異なる説明として「虚偽申述」と新たに定義したが、不正を知っていて虚偽説明したことは隠蔽とどこが違うのか。監察委の明確な説明はなかった。前回報告書の結論を変えたくないための理屈づけとみられても仕方がない。

 そもそも樋口美雄委員長は、厚労省所管の外郭団体理事長だ。前回調査では厚労省職員が対象者を聴取していたり、報告書の原案も職員が作成するなど監察委の第三者性に疑問符がついている。

 日本弁護士連合会の第三者委員会ガイドラインは、第三者委は企業などから独立した委員のみで構成されると定める。厚労省から独立した人材に委員を入れ替えて再調査を行う必要がある。

 国会審議でも与党は原因究明に消極的だ。特別委員会を設け究明を続けることもできる。

 国会には行政監視の役割がある。その責任は与野党がともに果たすべきだ。

 

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