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盗難秘仏、9カ月ぶり帰還 豊橋・十輪寺

仏像が戻ったことを喜び、手を合わせる住民。右手前は代わりに置かれていた写真=豊橋市嵩山町の十輪寺で

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 盗まれた秘仏がようやく帰ってきた−。豊橋市嵩山町の十輪寺で、昨年四月に盗まれて行方不明だった仏像が九カ月ぶりに寺の地蔵堂に戻った。十八日に無事の帰還を祝う「安座式」があり、檀家(だんか)や住民ら約四十人が涙を流して喜んだ。

 戻ってきた仏像は高さ七十七センチでヒノキ製。十輪寺は普段無人で、地蔵堂は通常、施錠されている。約二十五人の檀家が持ち回りで毎週日曜に境内の掃除をしているが、地蔵堂の開帳は年に一度だけだ。

 檀家らによると、盗難が分かったのは昨年八月二十三日。年に一度開帳される「地蔵盆」で近所に住む檀家らがお供えをして錠が壊れていた地蔵堂の扉を開けたところ、中はもぬけの殻だった。

 その場にいた鈴木三和子さん(59)は「みんな口をぽかんと開けるしかなかった。悲しみと怒りでいっぱいだった」と振り返る。住民らはすぐに豊橋署に被害届を出し、地蔵堂には仏像の写真を飾って帰還を願った。

 その後、豊橋署などが十月、建造物侵入と窃盗の疑いで四十代の男を逮捕。仏像は昨年四月に盗まれ、インターネットオークションに出品され、落札されていたことが分かった。捜査の過程で、県警が仏像を確保し、地元に戻された。

 東三河地方では二〇一八年一月〜一九年十月に、仏像類の盗難が二十五件相次いでいたという。

 十八日の安座式では、檀家の総代を務める野尻一美さん(79)が「ある日突然誘拐されていた仏様が、帰ってきてくれた。ご尊顔をしっかり見て感謝を伝えましょう」とあいさつ。

 参加者が一人ずつ地蔵堂に入り「おかえりなさいませ」「よくぞ私たちのもとにお戻りいただけました」「大変なご苦労をされたのですね」と語り掛け、手を合わせた。

 浦部良子さん(89)は「この土地に来て七十年以上たつが、ずっと見守っていただいている。やっと帰ってきてくれて、うれしくてたまらない」と涙を流した。

 ところで、戻ってきた仏像にはちょっとした異変が見られた。落札前に仏師が修復したらしく、壊れてなかったはずの手足があり、錫杖(しゃくじょう)が新調され、左手には元からあったのかどうか分からない宝玉が付けられていた。

 十輪寺の住職を兼ねる長楽寺(豊橋市石巻本町)の久納正弘住職(55)は「もちろん今後は防犯も考える必要がありますが、きょうは帰還を喜びたいと思います」。十輪寺では今後、地蔵堂の錠前を増やし、防犯対策を強化することにしている。

 (昆野夏子)

 

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