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「小さな美術館かじた」28日閉館 名古屋・中川、愛され17年

17年の歴史に幕を閉じる「小さな美術館かじた」=名古屋市中川区上流町で

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 二〇〇二年から老夫婦が運営してきた名古屋市中川区上流町の私設美術館「小さな美術館かじた」が、二十八日で閉館する。これまでに五百組超が作品展を開き、十万を超える人が入館した。館長の梶田三雄さん(79)と妻の弘子さん(78)は「自分で始めたことは自分で終わらせたい」と、元気なうちに幕を下ろすことにした。

■入館料は取らず

 あおなみ線の南荒子駅から徒歩数分。住宅街の中に、民家のような美術館はある。入館料は取らない。

 三雄さんはフランスやエジプトなど海外旅行先を題材にした油絵を多く描いてきた。中にはセミの抜け殻で作った「富士山」や、ゴルフ用品で作った「花火」などユニークな作品も。妻の弘子さんもパッチワークや水彩画をたしなむ。

 最終日まで開催しているのは「館長夫婦と友のさようなら展」。三雄さんは、二人と友人の展示作品を見ながら「多くの人に助けられ、おかげさまの十七年でした」としみじみ語る。

梶田三雄さん(左)と弘子さん=名古屋市中川区上流町で

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■500組超が作品展

 オープンは弘子さんの一言がきっかけ。経営していた中川区の鮮魚店を還暦前に畳み、時間に余裕ができた三雄さんは油絵に没頭。作品数は二百三十を超え、「いつか個展をやりたい」とたびたび口にした。すると弘子さんはぽつり。「自分で美術館を造ったら? 生活は何とかできる」

 三雄さんにとって思いも寄らない話だったが、一晩考えて決断。預貯金を使って土地を購入して建物を新築し、半年後に「小さな美術館」を開いた。当初は、自分たちの作品を展示するつもりだったが「スペースを貸してほしい」という声が思いのほか多く、一階のメインの展示室は貸すことに。最大で二年待ちになるほどの人気が出て、これまで五百組超が作品展を開いた。夕方には帰宅途中の小学生が扉を開けて「館長ー!」と声を掛けるなど、美術館は地域に溶け込んだ。

 三雄さんが絵に魅入られたのは小学四年。写生大会で描いた裏山の景色を、先生が「どこへ出しても入選間違いない」と絶賛、金賞に選んでくれた。あまりにうれしくて絵の道に進みたかったが、親から「食べていくのは難しい」と言われ、中学卒業とともに鮮魚店に修業に出た。

梶田さん夫婦の多彩な作品が並ぶ2階の展示室=名古屋市中川区上流町で

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 美術館はそれから五十年近くたっての決断だった。「美術館のおかげで大きな人の輪の中で生きられた。それがすごい財産」と三雄さん。弘子さんも「出展した方が喜んでくれるのが一番うれしかった」と十七年を振り返る。小さな美術館が、大きな喜びをくれたと感謝している。

 金曜休館。(問)同館=052(351)7505

 (水越直哉)

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