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車社会、免許返納進まず 豊橋1・67%

高齢者に運転免許の自主返納などを呼び掛けるポスター=豊橋署で

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 高齢者による自動車事故が繰り返し報道され、運転免許の自主返納が注目される昨今。とはいえ、車社会の豊橋市で生活する高齢者にとって、自動車は通院や買い物に欠かせない。自主返納がなかなか進まないなか、行政も対策を急いでいる。

 「切実な問題。どうしてくれますか」。豊橋市大岩町の山すそに住む女性(88)は思いを打ち明ける。高齢者による事故の報道が増えた今年から車の運転を控えるようになり、取材には妹(73)の車に乗せてきてもらったという。

 子どもはおらず、きょうだいも高齢だ。通う病院も近くに変え、車を運転する距離を短くした。「事故は起こしたくないけど、車がなければ病院に行くのに困る。バス停まで歩くのもつらい。年寄りにしか分からない苦痛がある」

 豊橋署によれば、市内の免許人口から見た自動車人身事故の加害者は若者の方が多い。とはいえ市内でも昨年十月、七十六歳の女性がアクセルとブレーキを踏み間違え、スーパーに突っ込む物損事故があった。

 二〇一八年の高齢者の免許人口に対する自主返納率は、県内でわずか2・07%。地域別で最も多いのは交通網が発達する名古屋市内で3・05%、次に尾張の1・89%と続く。一方、東三河は1・64%。豊橋市内だけで見ても1・67%にとどまる。

 豊橋はじめ東三河で自主返納が進まない現状について、豊橋署の志治正己交通課長は「尾張地方は平野で自転車移動しやすいが、東三河は山間部が多く車が必需品」と指摘する。また、高齢者向けの講話で運転への自信を問うと、半数以上が手を挙げるとも。「車社会のなかで、ベテランドライバーとしてのプライドもあるのだろう」と話す。

 こうした状況を市も重く受け止める。佐原光一市長は十四日の定例会見で「自主返納をおすすめする行政に切り替わる時期」と語る。「いつ事故が起こるとも分からない」と、公共交通機関の利用促進や電動アシスト自転車の購入補助などを視野に、代わりの交通手段を早急に確保する方針を示した。

 無理に自主返納を強いれば、高齢者に不便な生活を強い、出掛ける気力さえ奪ってしまう恐れもある。高齢者を加害者にしないと同時に、束縛もしない対策が求められていると言えそうだ。

 (高橋雪花)

 

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