4日で退院、陰性確認なく帰宅 浜松の集団感染男性

2020年8月4日 05時00分 (8月4日 05時03分更新)
退院する際、男性が病院から受け取った紙=本人提供

退院する際、男性が病院から受け取った紙=本人提供

  • 退院する際、男性が病院から受け取った紙=本人提供
 浜松市で発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)関連で陽性が判明し、入院した病院から退院した同市の五十代の男性が三日、本紙の電話取材に応じ「症状が軽かったが、もう家に帰ってもいいのかと驚いた」と四日間の入院生活を振り返った。検査で陰性を確認してから退院したわけではないため、家族が不安になり、医師や保健所の曖昧な注意に戸惑った体験を明らかにした。 (篠塚辰徳)
 男性はラウンジ「ブリリア」(中区)のクラスター関連で判明した陽性者。三七度台の熱が出て、七月末に浜松市内の病院に入院。間もなく発熱と多少のせきの症状は落ち着いた。
 入院した病棟のフロア全体が感染者用で、十五人ほどが入院していた。男性は他の三人と相部屋。何もやることがなく、iPad(アイパッド)で映画を見て時間をつぶした。他の部屋との行き来やマスクを着けた感染者同士の会話は自由にでき、共用のシャワーや電子レンジも利用できた。厳しい管理を予想していただけに「なんか、緩いな」と感じた。
 「もう退院して大丈夫。自宅でゆっくりしてください」。入院三日目の夜、担当医から告げられた。翌朝、「退院される患者の方々へ」という紙一枚が渡された。「一般的な衛生対策を徹底してください」「健康状態を毎日確認してください」などと書いてあった。医師からは「外出はだめと言えないが、極力、二〜四週間は人と会わないように」と口頭で注意を受けた。
 退院の知らせに「そんな早く帰ってこられても困る」と妻は困惑した。幼い子どもと妻は検査で陰性だったが、濃厚接触者として、男性と最後に会った七月末から二週間は「絶対に外出しないで」と保健所から念押しされていた。
 その期間が終了しないまま退院日を迎えたため「陽性だった夫と暮らしていいのか」と保健所に何度も問い合わせた。担当者からは「家族で注意してください」とだけ言われた。
 男性は保健所から「健康状態を確認するため連絡する」と言われていたが、退院から五日過ぎても連絡はない。毎日体温を測り、自分で健康管理をしている。
 妻らは、自宅内で男性と離れて暮らそうと試みたが、幼い子どもは走って父に抱きついてしまう。家族三人とも自宅から出ないように暮らし、買い物は知人に頼んだり、ネット通販で済ませたりしている。
 「感染リスクは低いとはいえ、万が一がある。家族はそのリスクを受け入れないといけないのか」。不安を抱える妻はこう求めた。「退院は早くてもいいが、外出や他人との接触を避けるよう求めるなら、ホテル療養も選べるようにしてほしい」

 <新型コロナウイルス陽性者の退院基準> 厚生労働省は、陽性者の退院基準を段階的に緩和してきた。5月末までは症状がなくなってからPCR検査で2回続けて陰性反応が出なければ、退院や療養解除をすることができなかった。発症から14日間が経過し、かつ症状が軽くなって72時間以上過ぎていれば退院できるようになり、現在は世界保健機関(WHO)などが示す入院期間を参考に発症から10日間経過に短縮された。


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