エンゼルス首脳陣は大谷の31球目で交代を告げるべきだった『1イニング40球』の限界点[大慈彌功コラム]

2020年8月3日 22時40分

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アストロズ戦の2回途中、マドン監督(左)に降板を告げられるエンゼルス・大谷(AP)

アストロズ戦の2回途中、マドン監督(左)に降板を告げられるエンゼルス・大谷(AP)

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「日本人初メジャースカウト・大慈彌功論」


 大リーグは開幕から10日あまり。エンゼルスの大谷は投打とも実戦不足の感が否めない。
 7月26日の初登板は手術後の右肘への不安か、恐る恐る手探りの投球だった。2日の2度目の登板では、下半身から上半身への連動性もかなり修正できて、球速も上がってきていた。落とし穴が2回、39球目、155キロの速球で三振を奪った直後、かなり強いと思われる右ひじの張りを訴える動作が見られた。
 その回の31球目。その時点でエンゼルス首脳陣は交代を告げるべきだった。私の経験則からすると、1イニングで40球以上費やすと故障を誘発する可能性が高くなる。実際、その回の42球目は144キロだった。試合後にMRI検査を受けたとのこと。大事に至らないことを願うばかりである。
 打撃に関しても球を捉え切れていない部分がある。こちらは右肘に問題がなければ、調子は上向いてくるだろう。
 打者を評価する上で端的に表せる指標がOPS(出塁率+長打率)である。メジャーでは昨年両リーグで9人が超一流の証しとなる9割5分以上を記録。そして、52人が一流の仲間に入る8割5分以上を記録した。大谷の同僚で2番を打つトラウトはア・リーグ最高の10割8分3厘、ブルワーズの2番のイエリチは同11割でナ・リーグ最高だった。
 野球は点取り合戦である。その概念から大リーグでは1番打者は従来通り脚力、出塁率にたけた選手を起用。そして、近年ではチーム最強打者を2番に据えるという傾向にある。次に多いのが3番で、いかに強打者に多くの打席を回すか、との意図がある。
 近年は、相手投手との兼ね合いで4番目の打者をその都度決めることが多くなっている。大谷の過去2年間通算OPSは8割8分3厘(昨季は8割4分8厘)であり、今年に限っては4番もしくは5番が妥当だろう。
 大リーグの監督がNPBで指揮を執れば、ほとんどが脚力もある広島・鈴木誠也外野手(セ・リーグ最高のOPS11割2厘)とソフトバンク・柳田悠岐外野手(パ・リーグ最高の同12割3分8厘)、ヤクルト・村上宗隆内野手(同9割8分3厘)などは間違いなく2番に固定するだろう。日本野球も固定観念ではなく柔軟に対応してもらいたいものだ。
 ▼大慈彌功(おおじみ・いさお)元太平洋クラブ(現西武)捕手。ロッテでバレンタイン監督の通訳を務め、1997年からは同監督が指揮を執ったニューヨーク・メッツで日本駐在スカウトに転身。ドジャース、アストロズと渡り歩き、昨年までフィリーズの環太平洋担当部長を務めた。

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