<さじき席> 照ノ富士、V字復活
2020年8月3日 05時00分 (8月3日 05時01分更新)
会員限定
御嶽海を万全の相撲で寄り切り、5年ぶりの優勝を決めた照ノ富士は、土俵を下りると視線をしきりに上方に走らせた。その先にあったのは2015年夏場所、東関脇で初優勝を遂げた自身の優勝額。「復活してからあと何場所で(掲げられ)なくなるのかを見ていた。なくなる前に(もう1枚)飾りたいと思っていた。それができて良かった」
館内には32枚の優勝額が掲出されており、優勝者が出るごとに一番古いものと取り換えられていく。15年夏場所の優勝額は古い方から数えて5枚目。タイムリミットが迫っていたが、幕内復帰1場所目で願いをかなえてみせた。
勝てば優勝、負ければ3者による優勝決定戦にもつれ込む一番。立ち合いで踏み込んで左上手を奪い、相手の動きを止めた。右を固め御嶽海の左差しを封じ、前みつを取ることに成功。力だけでなく緻密な戦略で相手の長所を消し、実力者に何もさせず土俵の外に追いやった。「うれしくて何が何だか分からなかった」。涙ぐむわけでも、笑みをこぼすわけでもない。表情を変えず押し寄せる感情をただ受け入れた。
大関経験者。両膝の大けがや内臓疾患で休場を繰り返し、昨年春場所で復帰した時には序二段まで落ちていた。...
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