横綱不在…12勝の朝乃山は大関の責任を果たしたとは言えない、両横綱もそろそろ…だからしっかりしてもらいたい【北の富士コラム】

2020年8月2日 22時07分

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朝乃山(左)が寄り切りで正代を下す

朝乃山(左)が寄り切りで正代を下す

  • 朝乃山(左)が寄り切りで正代を下す

◇2日 大相撲7月場所千秋楽(東京・両国国技館)

 決定戦も期待された千秋楽だったが、何事も起こらず、照ノ富士が御嶽海に勝って、すんなりと優勝を決めた。
 波乱含みの大一番とみられ、あるいは御嶽海の方が有利ではないかと予想されもしたが、結果は照ノ富士が鋭い踏み込みを見せ、すぐに得意の左上手を引いた。テレビの解説席からは、それが見えなかったが、照ノ富士は右でもまわしを引いた。御嶽海は形としてはもろ差しになったが、照ノ富士に両上手から強烈に引きつけられて身動きができない。ひと呼吸置き、両上手の引きつけを再確認し、万全の体勢で寄ると、御嶽海は何の抵抗もないまま土俵を割った。照ノ富士の快勝であった。
 これで結びの一番を待たずして優勝を決めた。私は御嶽海のずぶとさともろ差し、動きの速さを買って、決定戦は間違いないとみていただけに、この一方的な相撲は意外であった。勝負の分かれ目は立ち合いで決まった。御嶽海は突っ張る作戦だったと語っているが、その割には立ち合いの当たりが悪過ぎた。頭から当たらず、右を差しにいっている。これではまるで「左上手をどうぞとってください」と言っているようなものである。大言壮語の割には見事な完敗。口ほどの事がなかった。一応、11勝し、大関とりの起点に立ったと見るむきもあるが、元大関とはいえ、幕尻の力士に惨敗し、むざむざと優勝をかっさらわれては、大関候補とは言えないだろう。
 朝乃山は正代を盤石の相撲で勝ち、12勝3敗で新大関の場所を終えた。12勝は星だけみると立派な及第点である。しかし、両横綱、1大関不在の場所であり、照ノ富士と照強戦の2連敗は、精神面の弱さのようなものを感じさせた。小兵の照強に足を取られ、幕尻の相手に優勝をさらわれてしまったのは、まさに屈辱的である。
 初場所の徳勝龍の幕尻優勝も今回も、大関に勝ってのものである。いったい何のための番付なのだろうか。このところの初優勝はみな、横綱不在の場所に実現している。こんな時に頑張るのが、大切な大関の仕事ではあるまいか。その点では、今場所の朝乃山は立派に責任を果たしたとは言えないと思う。すでに白鵬と鶴竜の両横綱の休場も多くなり、引退も近いだろう。だから朝乃山にしっかりしてもらいたいのである。
 今場所は三役が頑張ってはいたが、照ノ富士に優勝を許した責任の一端は彼らにもあるといえる。照ノ富士の優勝は、いくら褒めても足りないくらいに立派だが、手放しで喜んでばかりはいられない場所であった。
 今場所は琴勝峰や琴ノ若が新風を吹き込んだが、平均的には年齢が高く、ベテラン勢が多い。元大関が4人もいるのも異例である。十両陣をみても、元幕内力士が少なくない。幕下以下にも50歳をはじめ40歳、30歳の力士がゴロゴロしている。少子化で力士志望者が不足しているのが大きな原因だが、はたしてそれだけではあるまい。私にも思うことはあるが、めでたい千秋楽だから、いずれ後日述べることにしよう。
 とにかく無事終わって何よりでした。力士たちからコロナ感染者が出なかったのは、協会の努力の結果でしょう。おかげさまで小生も風邪ひとつ引かず、無事乗り切りました。コロナで死んだとあっては、先祖にも申し訳ない。
 さて、本日からはどう過ごそうか。さぞ退屈すると思う。例年だと涼しい北海道でゴルフざんまい。夜はススキノでめんこい娘相手に一杯。今年は友だちから「来ないでくれ」と電話あり。100歳まで生きていた父が「長生きしてもつまらんぞ」と言っていたが、どうやら本当のようです。
 それでは読者の皆さん、今場所もつまらん話を聞いていただきありがとうございました。さようなら。(元横綱)
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