照強は足を取るだろうと確信していた…むざむざと取られる朝乃山は大関の名が泣こうというものである【北の富士コラム】

2020年8月1日 22時16分

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照強(右)が足取りで朝乃山を破る

照強(右)が足取りで朝乃山を破る

  • 照強(右)が足取りで朝乃山を破る

◇1日 大相撲7月場所14日目(東京・両国国技館)

 優勝の行方は予想外の展開を見せてきた。照ノ富士と正代の一番は、こんなこともあるだろうとある程度は予想していが、それが現実になると何か照ノ富士に申し訳ないような気がする。
 13日目のコラムで述べているように、照ノ富士にとって正代は取りにくい相手である。正代という力士は体が大きいが、差し身がいい。それに柔らかい。特にこの2、3場所前から人が変わったように取り口が積極的になってきて、長足の進歩を見せている。
 立ち合いは互角。正代は両腕をクロスするようにもろ差しを狙った。一方、照ノ富士は左で上手を取りに出る。私はこの上手を取りに出た作戦が失敗とみている。上手を引くということは、相手に右差しを許すということにほかならない。案の定、正代の右が入る。体が大きく腕も太いので、照ノ富士の上体が起きる。その時には正代の左も恐らく入っていたはずである。正代は願ってもないもろ差しを果たすと、勝利を確信したかのように一散に寄ると照ノ富士の両膝に残す力はなかった。
 正代会心の相撲と言って良いだろう。照ノ富士の優勝に待ったをかけると同時に、自らの初優勝に大きく近づいた。正代は大一番を制したが、ニコリともしないで勝負師の一面を見せていたのが頼もしい。千秋楽の相手は朝乃山。今では正代の勢いの方が有利なような気がする。
 朝乃山は大詰めにきて屈辱の2連敗。果たして戦う気力は残されていようか。突然、平幕で小兵の照強をあてられ意表を突かれて動揺を隠せなかったと思われる。花道から控えに座った表情も、戦う男の表情に感じられなかったのは私の気のせいか。
 また、後出しじゃんけんのようで気が引けるが、照強は必ず足を取るだろうと確信していた。終わった後では、何でも言えると思うでしょうが、ちゃんと証人もいるんです。八角部屋の若い力士とテレビを見ながら「足を取るから見ていなさい」と予言していたのです。まあそんなことはどうでも良い。むざむざと足を取られる朝乃山は、大関の名が泣こうというものである。
 「馬でも足を取られたら転ぶ」。昔、貴ノ花が清国さんに完全に足を取られながら、一本足でも残し上手投げで逆転したことがあった。負けた清国さんが前出の名言を吐いたのであります。それにしても、照強が見事な援護射撃であった。
 これで千秋楽は一段と面白くなった。照ノ富士は御嶽海。正代と朝乃山。照ノ富士が勝つとすんなり優勝が決まるが、もし負けたなら正代と朝乃山戦の勝者と決定戦になるわけである。照ノ富士は安易に左上手を取りに行くと御嶽海の差し身の良さと出足の速さに圧倒される恐れがある。決定戦になる公算が大きいような気がするが、これ以上は言わぬが花であろう。
 それではこの辺で、もうコロナの話はやめときます。飯がまずくなる。今夜は何を食べるか気になりますか? 今日(1日)、熊本から馬刺しが届きました。ニンニクをたっぷり付けて、酒は熊本の米焼酎に限ります。(元横綱)
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