熊走サンショウ 挑戦実れ 香り爽やか ピリリと辛い 希望の星

2020年8月1日 05時00分 (8月1日 10時42分更新)
種から育てたサンショウの木を見上げる東川勇輝夫町会長(右)ら=金沢市熊走町で

種から育てたサンショウの木を見上げる東川勇輝夫町会長(右)ら=金沢市熊走町で

  • 種から育てたサンショウの木を見上げる東川勇輝夫町会長(右)ら=金沢市熊走町で
  • 収穫したサンショウの実=金沢市熊走町で

植栽7年 特産化へ町栽培


 犀川の上流地域にあり、過疎化が進む金沢市熊走町(くまばしりまち)で、種から育てたサンショウのブランド化を目指す取り組みが進んでいる。ミカンのような爽やかな香りを漂わせ、ピリリと舌がしびれる小さな一粒に「熊走町を知ってもらい、町を盛り上げたい」との町民の願いが込められている。(蓮野亜耶)
 七月下旬、町内の畑で育つサンショウの木になった小粒の実が雨にぬれ、風に揺れていた。栽培する町会長の東川勇輝夫さん(65)が実を一粒取ると「いい香りやろ」と豪快に笑った。
 同町には現在、十七世帯が住み、高齢化や過疎化が進む限界集落だ。二〇一一年から市の事業として、特産品作りなどに取り組んできた。
 サンショウの栽培を提案したのは、同町と交流があり、サンショウや乾物を取り扱う会社で営業を担当していた同市の岩田護さん(66)。「手間もかからず、獣害にも遭いにくい。飲食店などからの需要も高く、僕が販路を探せば栽培から流通まで一貫してできる」と話す。
 七年前に近隣に生えている天然のサンショウから種を集め、住民が苗を育て、町内の畑に植え始めた。実がなるまで五年かかる。途中、イノシシが木の根を掘り返したり、サルが枝を折ったり。雪の多い年は枝が折れないよう、束ねる工夫もした。東川さんは「じっと実がなるのを待っていた」と振り返る。
 昨年、ようやく花が咲き、実を収穫。日本で唯一香辛料の神様を祭る波自加彌(はじかみ)神社(同市)に奉納した。今年は約一キロを収穫した。現在は六カ所に四百本を育てているが、来年はさらに百本を植える。岩田さんは「まだ花が咲いて二年目だから収量は少ない。これからどんどん増えていく」と期待を込める。
 今後、飲食店や加工会社などに販路を広げるほか、町内でサンショウの摘み取り体験や料理が楽しめる祭りも開きたい考えだ。東川さんは「町に来てもらい、サンショウに込めた思いを届け、熊走町の名を多くの人に知ってもらえたら」と語る。

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