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臨時休校・再開決定の経緯残さず 県教委

2020年8月1日 05時00分 (8月1日 05時02分更新)
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、静岡県教委が県立高校や特別支援学校の臨時休校、再開を検討、決定した経緯を公文書に残していないことが本紙の取材で分かった。意思決定の際に必要な起案文書もなく、教育長らによる口頭での承認だけだった。憲法が定める「教育を受ける権利」を制限する重大な決定にもかかわらず、適切な判断だったのか検証できない。
 本紙は、県と浜松、静岡両政令指定都市の教委に「臨時休校や、臨時休校の延長、再開を判断、決定するまでの経緯を記した議事録や記録、会議での配布資料など、関連する資料の一切」を情報開示請求した。
 県教委が開示したのはA4判の七枚。いずれも県のホームページで公表済みで、コロナ関連の会議や記者会見でも提供された。いつ、誰が、どんな根拠で、決定したのか分からない。
 県教委の文書管理規則・規程は原則、意思決定に際して、処理案や起案理由を記載した文書の作成を求め、必要に応じて根拠法令や関係文書を添付するとしている。
 県教委健康体育課の鈴木章司・課長代理は「本来であれば起案文書は作成するべきだった。急を要する案件で、いろんな指示が飛ぶ中、起案文書まで意識がいかなかった。適切ではなかった」と述べた。その上で「誰が決定にかかわったのか、今後、明らかにしていきたい」とした。
 県教委は安倍晋三首相が全国に臨時休校を要請した二月二十八日に、高校や特別支援学校の休校を決定。三月二十六日に新年度からの再開、その後も再休校や延期、再開の前倒しなどを決めている。浜松市教委は、起案文書や学校への通知資料など四十四枚を開示し、起案文書には教育長らの決裁があった。静岡市教委は定例会や臨時会に議案として提出し、承認を受けている。開示資料は、会議の議事録や配布資料など六十一枚だった。 (高橋貴仁)

◆法との整合性判明せず


 静岡大教育学部の亘理陽一准教授(教育方法学)の話 学校保健安全法には、感染症の予防上必要があるときは学校の設置者が学校を休業することができるとある。臨時休校を決めるのは教育委員会。県教委の二月二十八日の文書には「首相が臨時休校にするように要請した」と書いてあるだけで、法との整合性や妥当性が分からない。起案文書を作らず、その過程を見繕おうとしない姿勢も問題だ。教育委員会は首長からの独立性、合議制、住民による意思決定という三つの性格がある。その根本を踏みにじっている。

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