大正の館 お引っ越し計画 国文化財・室木家住宅 解体再築へ

2020年7月31日 05時00分 (7月31日 10時29分更新)
国有形文化財に登録されている室木家住宅主屋と門など=七尾市中島町浜田で

国有形文化財に登録されている室木家住宅主屋と門など=七尾市中島町浜田で

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河川改修で 数年がかりの緻密な作業


 七尾市中島町浜田の国登録有形文化財(建造物)「室木家住宅主屋(しゅおく)」が、水防のための河川改修に伴い、数百メートル離れた場所へ移転する。いったん解体した上で、移転先で組み立て直す大掛かりな移転作業。下にレールなどを敷いて建築物をそのまま移す曳家(ひきや)の事例は多いが、担当する一級建築士によると、県内でも歴史的建造物の解体による移転再築は珍しい。大正建築の工法を再現するため、くぎを使わず木材を組むなど緻密な作業が多い希少な移転プロジェクトになりそうだ。(室木泰彦)
 室木家住宅主屋は、一九一二(大正元)年に建てられ、切妻(きりづま)造りの木造二階建て、瓦ぶきで建築面積四百五十五平方メートル。明治から大正にかけての典型的な近代和風住宅で、南側が土間、北側は床上部で、部屋が三列に並ぶ構造。土間上部に梁(はり)組がある。ケヤキを中心に良材が使われ、上質な造りが評価され、門、しっくいで仕上げた塀とともに二〇〇五年に国の有形文化財に登録された。同市中島町外(そで)で一般公開されている「明治の館室木家」に対し“大正の館”とも言われ、現在は隣接する室木歯科口腔外科医院の室木俊美院長(63)が住んでいる。
 ところが、すぐ近くを流れる熊木川はこれまで何度も水害を起こしており、水防で川幅を広げる河川改修工事が行われることになり、主屋も医院とともに二百五十メートルほど北西に離れた場所に移転することになった。まず移転先に医院と仮住居を建て、その後で現在地の医院と主屋を解体するため、移転プロジェクト全体は数年がかりになる見通し。解体した木材などをそのまま使い、梁組などはくぎを使わず木を組み合わせるため、精密な作業が必要になる。
 解体と再築を担当する高屋設計(金沢市)一級建築士の高屋利行さん(67)は「これほどの文化財の解体による再築は、参考にできる同様工事があまりない。費用も相当かかるが、県の補助を受け、慎重に作業を進め新天地に忠実に再現したい」と説明。本格的な作業は来年以降になる見通しを示した。
 室木院長は「医院とともに住み慣れた場所を離れるのは残念だが、洪水被害防止のためにやむを得ない。文化財を次世代に引き継ぐ責任もあるので、しっかり対応したい」と話した。

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