<目耳録> 延命中止

2020年7月28日 16時00分 (7月28日 16時00分更新) 会員限定
 今年初め、徐々に全身の筋肉が動かなくなる難病の千葉県勝浦市の照川貞喜さんが、七十九歳で亡くなった。
 意思疎通できなくなったら、人工呼吸器を外して−。病が進展する将来を見越し、照川さんは十三年前に要望書を残していた。「呼吸器を外す選択を社会に認めてほしい」と。だが、外した人が殺人罪に問われかねず、要望はかなわなかった。
 取材で訪ねた二年前は、既に意思疎通できなくなっていた。妻恵美子さん(77)は「痛くても何も言えなくてかわいそう。でも、医師が罪に問われてもいけない」と、迷いながら最期まで添い遂げた。
 米国の多くの州や韓国などには延命中止を認める法律があるが、日本には今もない。「自分が同じ立場でも、外してほしい。でも、もし外していたら、私に悔いが残ったのかな」。見送った後も、恵美子さんは迷い続けている。 (豊田直也)

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