バレーボール・清水邦広と福沢達哉が交わした約束『東京五輪で現地集合』 別々の道を歩む2人が再び出会うために…

2020年7月27日 21時45分

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チーム主催のイベントで、笑顔でポーズを取る福沢(左)、清水

チーム主催のイベントで、笑顔でポーズを取る福沢(左)、清水

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 バレーボール男子日本代表にとって最後の五輪となった2008年北京大会に、代表最年少の大学4年生で出場した清水邦広(33)と福沢達哉(34)=ともにパナソニック。海外挑戦か、国内か。代表合宿か、所属先か。五輪後、異なる道を選択をしてきた2人は「東京五輪で現地集合」の合言葉を胸に、代表最年長で迎える来夏の大舞台を目指す。
  味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)で7月に再開された代表合宿。合流した福沢に対し、清水の姿はなかった。
 「僕は今年1年は合流せず、所属先の方でトレーニングとコンディションを上げていくという形でやらせてもらいます。けがをしない体を、もう一度手に入れるために」
 18年2月、前十字靱帯(じんたい)断裂など引退を覚悟するほどの重傷を右膝に負い、復帰まで1年を要した。五輪を目指すならもう二度とけがはできない。低下したジャンプ力やパワーを取り戻すためにも、国際大会が消滅した今年の代表シーズンを肉体改造に費やすことを決めた。
 この故障で「誰にも会いたくない」とふさぎ込んだ清水を救ったのが福沢だった。福沢は幾度も入院先の病室に来たが、バレーボールの話は一切しない。「ただ一緒にそばにいて、しょうもない話をして」(清水)。そして、帰って行く。それだけで清水の気持ちは落ち着き、前を向けた。いつしか2人は「東京五輪で現地集合」と約束を交わすようになった。
 ともに出場した北京五輪は全敗。歓喜の五輪予選突破後、2人で「次は俺たちが」と意気込んでいた分、落胆は大きかった。翌09年にはパナソニックに同期で入団。しかし、それ以降は2大会連続で五輪切符を逃した。男子バレーの低迷期を過ごすうちに、2人はベテランの域に達した。福沢は「今までのように足並みそろえて、東京で北京の借りを返すんだ、というふうにはいかない。最後まで納得できるよう、歩んで、もがいて、進んで。その先に2人が出会えたら」と“現地集合”の意図を明かす。
 福沢は昨季、フランスリーグに乗り込んだ。実績のない“海外選手”は結果を残せなければ出場機会はない。そのプレッシャーと向き合い続け、スタメンの座を勝ち取った。新型コロナウイルスの感染拡大で3月末、チームの拠点のパリが都市封鎖された日に帰国したが、「この年齢で成長できる部分がまだあることに気付かされた」と充実感を漂わせた。
 一方の福沢も、清水の言葉で引退を踏みとどまった過去がある。16年リオデジャネイロ五輪の直後、清水が取材を受けている最中に何げなく福沢に告げた。「五輪を2大会逃して悔しい思いしかしていない。悔しいで終わるんじゃなくて、何かをやり遂げて最後は笑って終われるようにしようよ」。現役を引退して会社員になることをほぼ決めていた福沢は「自分が目を背けてきた気持ちに気付かされた」と振り返る。やりたいか、やりたくないか―。「やっぱり、できるなら五輪にいきたい」。それが自問に対する答えだった。
 北京五輪から12年間、同じ夢を追う2人は別々の道を歩んでいる。集大成と位置付ける大舞台で、再び出会うために。
 ▼バレーボール男子日本代表 1960~70年代は世界の強豪国として、五輪では64年東京で銅、68年メキシコで銀、72年ミュンヘンでは悲願の金メダルを獲得し、「ミュンヘンの奇跡」と言われた。以降は五輪メダルから遠ざかり、96年アトランタ大会からは3大会続けて出場できなかった。4大会ぶりの出場だった2008年北京五輪は1次リーグ5戦全敗の11位。来年の東京五輪は開催国枠で3大会ぶりに出場する。
 ▼清水邦広(しみず・くにひろ) 1986(昭和61)年8月11日生まれ、福井市出身の33歳。192センチ、98キロ。左利き。ポジションはオポジット。福井工大福井高―東海大を経て2009年にパナソニック加入。1年目から優勝に貢献し、MVP、スパイク賞、ベスト6を獲得、愛称は「ゴリ」。最高到達点は335センチ。
  ▼福沢達哉(ふくざわ・たつや) 1986(昭和61)年7月1日生まれ、京都市出身の34歳。189センチ、88キロ。右利き。ポジションはウイングスパイカー。洛南高(京都)―中大を経て2009年パナソニック加入。15~16年シーズンにブラジルのマリンガ、19~20年シーズンにフランスのパリ・バレーに所属。最高到達点355センチ。

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