ネット中傷深刻 浜松クラスターの店、経営女性「つらい」 

2020年7月26日 05時00分 (7月26日 05時01分更新)
「コロナも怖いが、ネットでの中傷もつらい」と語るブリリアの女性経営者=25日、浜松市中区で

「コロナも怖いが、ネットでの中傷もつらい」と語るブリリアの女性経営者=25日、浜松市中区で

  • 「コロナも怖いが、ネットでの中傷もつらい」と語るブリリアの女性経営者=25日、浜松市中区で
 浜松市内で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したラウンジ「ブリリア」(中区田町)。店名公表から一夜明けた二十五日、四十代の女性経営者=同市=が本紙の取材に応じ、陽性が判明した店員や顧客の個人情報がインターネットの会員制交流サイト(SNS)で出回っているとして「コロナも怖いが、ネットでの中傷もつらい」と吐露した。 (篠塚辰徳)
 「まるで犯罪者のよう。みんな家族がいるのに…」。女性がスマートフォンの画面を見つめ、つぶやいた。LINE(ライン)やツイッターで、「この人陽性なんだって」などという言葉とともに、店員や顧客の実名や写真などが流出。中には幼い子どもと一緒に写った写真もあった。
 女性自身は最近、店に立ち寄っておらず、陽性者の濃厚接触者ではなかったが、念のためPCR検査を受け陰性だった。それでも「オーナーが感染拡大させたらしい」と事実と異なるうわさがネットで流れた。子どもと一緒に買い物に出掛けると、見知らぬ人に、携帯画面と女性の顔を何度も見比べられた。
 何よりも気にかかるのは、小中学生の子ども四人のこと。学校や習い事関係のライングループで、「来ないでほしいよね」とのやりとりがあったと友人から聞いた。
 店は感染対策として常連客だけの入店に絞り、名前や住所、電話番号などを控え、利用した顧客リスト約百人分を作成。客はほとんどが市内在住で、二週間以内に首都圏に行った客の利用は断った。接待を伴う営業上、マスクなどは着けていなかったが、店のドアを開けっ放しにするなど、換気や消毒に努めていた。
 客の検温はしていなかった。接客する従業員向けに発注したフェースシールドが届いたのは、二十一日から休業した後。女性は「早く着けていれば…」と悔やむ。店内にQRコードを掲示して、読み取った顧客に感染者との接触履歴を通知する浜松市の「コロナ身守りシステム」には登録していなかったが、市は「客をしっかり特定できる名簿があり、非常に優良な協力店」としている。
 女性はここ数日、一日に百件ほどの電話対応に追われている。従業員や客、市などと連絡を取る日々だ。誰がどの病院に入院するかも把握し、食事などの差し入れにも出向く。
 二十四日、店でのクラスター発生を受け、市から店名公表の連絡を受けた。中傷の悪化を心配して素直にうなずけなかったが「公表するなら、私たちを守ってほしい」とだけ伝えた。
 一夜明け、陽性者が増え続けている状況に公表は仕方ないと感じている。しかし、感染者を断罪するような一部の空気は間違いだと思う。「根も葉もない情報までネットでばらまかれてしまう。そうなったら、社会的に生きていけない」

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