阿炎が突然の休場…泣いて馬謖を斬ったのだろう 錣山親方の苦しい胸の内はよく分かる【北の富士コラム】

2020年7月25日 22時07分

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阿炎の休場で御嶽海の不戦勝を知らせる垂れ幕

阿炎の休場で御嶽海の不戦勝を知らせる垂れ幕

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◇25日 大相撲7月場所7日目(東京・両国国技館)

 照ノ富士は若隆景を一方的にきめ出し、力の違いを見せつけた。このあたりでは照ノ富士に左上手を取られて太刀打ちできる力士はいないと思う。まだ後ろに下がると不安は残るが、上位に戻るのは時間の問題であろう。
 その照ノ富士と6日目に対戦し、いいところなく敗れた琴勝峰だが前日の負けを引きずることなく元気いっぱいの相撲を見せた。押し相撲の志摩ノ海に対し、琴勝峰も押しで対抗した。190センチの長身だが、頭で当たっても何の違和感も感じさせないのが、この力士の非凡なところだ。
 師匠も無理をして頭で当たらなくても良いと指導しているらしい。私も同感である。ともすれば長身の力士が頭で当たると窮屈そうで相撲の流れが止まるものだが、琴勝峰は体が柔らかいのと足腰が良いので、十分に腰が割れてまるで押しが専業のようにも見えてしまいます。当たり勝った琴勝峰が終始攻めて左でまわしを引くと、間髪を入れずに下手投げで仕留めた。できればそのまま寄った方が良いとは思うがおそらく体が反応したのだろう。あの若さで老練とも感じさせるうまさは驚きである。
 炎鵬もようやく本来の相撲に戻ってきた。実力者の玉鷲に勝ったのだから、大したものである。これで勝ち越しのメドは立った。頑張ろう。
 ところで阿炎と御嶽海の一番は、阿炎の突然の休場で御嶽海の不戦勝となった。労せずして全勝を守った御嶽海に今場所の「つき」を感じる。詳しいことは分からないがどうやら阿炎の不祥事が原因で、師匠が休場を決断したようだ。阿炎には前歴もあるので、泣いて馬謖(ばしょく)を斬ったのだろう。私も部屋を持っていた経験があるだけに、錣山親方の苦しい胸の内はよく分かる。不肖の弟子ほどかわいいというが、錣山親方も頭が痛いことである。
 それでは、もう少し相撲を振り返ろうか。正代は碧山の猛攻に絶体絶命の大ピンチになったが、奇跡的に残して1敗を守った。2、3場所前の正代なら簡単に勝負をあきらめていたに違いないが、執念で残した。気の持ちようで人間はこうも変わるものなのかと感心してしまう。いいことである。
 朝乃山は最高の相撲で全勝を守った。立ち合いから左で引きつけ一気に寄り切ったが、その体勢と土俵際の詰めの格好の良さにはほれぼれするものがある。気力も最高潮にあると思われる。
 白鵬も負けずに絶好調である。今場所初めての張り差し、踏み込み鋭く左上手を引いて一気に寄り切った。すごい出足と気迫である。獅子はどんな獲物でも全力を尽くすという。まさにそれである。初顔、格下の相手に手を抜くことがない。霧馬山は悪い日に当たってしまったようだ。
 いよいよ優勝争いが楽しみになってきた。上位陣の直接対決が一番一番、優勝争いを左右することになるだろう。こんな場所はめったにないと思われる。
 それもこれも全部、私の予想通りである。(元横綱)
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