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FC東京時代の経験が生きた久保建 来季の移籍先はバレンシアかビリャレアルがお勧め【月刊ラモス】

2020年7月25日 11時46分

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マジョルカ降格で久保建英は来季どうなる…(AP)

マジョルカ降格で久保建英は来季どうなる…(AP)

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。そんな世の中を明るくするのは「スポーツと音楽だ」と言い切るラモス瑠偉編集長(63)が「今こそ私たちが頑張るとき」と力説した。そのうえで、自らテクニカルダイレクターを務める東京ヴェルディのサッカーを「J2で一番面白いサッカーをやっているから、ぜひスタジアムに足を運んでほしい」と大アピール。そして久々にMF久保建英(19)=マジョルカ(スペイン)=についても触れ、来季の移籍先について「バレンシアかビリャレアル(ともにスペイン)がお勧めだ」と持論を展開した。
  ◇  ◇  ◇
 お客さんがスタジアムに帰ってきた。拍手だけの応援だが、それだけでも全然違う。プロは、見られてこそ燃える。まだ数は少ないし、大声を出しての応援もできないが、それでもうれしい。熱い視線が、選手にとっては大きなエネルギーとなる。東京ヴェルディの最近の2試合を見て、つくづくそう思う。
 今のヴェルディはいいサッカーをしている。ボールは動いているし、ただ単にボールを回しているだけでなく、縦に速い攻撃もできる。攻守の切り替えが速くなって、相手ゴールに近い位置でボールを奪えるようになった。だから効果的なカウンターが決まる。
 甲府、千葉を相手に計6ゴールを量産。特に甲府戦は前半、ボールを動かして相手を走らせ、後半、相手の足が止まったところで2列目の選手が相手ゴールに向かってどんどん飛び出していった。それまで4試合で2ゴールしか挙げられず、2分け2敗と低迷していた。ただボールを回しているだけで誰も仕掛けない。「何やってるの…」と不満が募っていたが、その後は大幅に改善され、私の理想に近いサッカーを見せてくれている。
 再開直後はけが人が多く、準備が遅れた影響が出ていたが、ようやく攻めのサッカーができるようになってきた。この2試合、ヴェルディがJ2で一番面白いサッカーを見せている。
 ストライカー不在、選手層が薄い、まだスイッチが入るのが遅いなど、課題はたくさんあるが、ヴェルディのチームダイレクターとして、大きな手応えを感じている。
 このままはまれば、昇格もある。そのくらいいいサッカーができるようになっている。みなさんもぜひ、スタジアムに足を運び、ヴェルディのサッカーを堪能してほしい。
     ◇
 久々にマジョルカの久保建について触れたい。今季、マジョルカの主力として孤軍奮闘したが、チームは19位に低迷し、2部降格が決まった。はっきり言って、チームのレベルは低い。その中で、それも中盤の選手として4ゴールを挙げた久保建は大したもんだ。
 ほぼ全ての対戦相手のレベルはマジョルカより上。正直言って、久保建以外の選手が下手すぎる。その中で、久保建はドリブル突破を軸に、個人技の高さをシーズンを通して見せつけた。あの突破力は魅力だ。
 世界のトップレベルでは、うまいだけでは通用しない。個の力で局面を打開できる、ゲームの流れを一瞬にして変えてしまうようなプレーが求められる。久保建のドリブル突破は、大きな武器になっていた。周りにもっと彼を生かせる選手がいたら、もっと彼に生かされる選手がいたら、彼自身ももっと輝いていたに違いない。
 来季は次のステージでの戦いになるだろう。代理人の腕次第だろうが、私はスペイン1部リーグの中堅クラブへの移籍を勧めたい。チームのスタイルを見ていくと、今季同リーグ9位のバレンシア、もうワンランク上を狙うなら同5位のビリャレアルあたりはどうだろう。
 今の久保建にはスペインのサッカーが一番合っていると思う。攻撃型のチームが多いし、比較的フィジカルコンタクトは緩い。イタリアやドイツ、特にセリエAではガチガチの守備的サッカーでつぶされてしまうかもしれない。
 レアル・マドリード(スペイン)復帰はもう少し待った方がいいだろう。まだ19歳。試合が選手を育ててくれる。まずは試合に出ること。レアルに今戻っても、出番はない。せめてあと1年、中堅クラブでいろいろな経験を積み、突破力にさらなる磨きをかけてからでも遅くはない。あと1年、じっくりと力をつけてほしい。
 久保建の成長ぶりを見ると、FC東京時代の長谷川監督の指導が大きかったと感じる。長谷川監督は彼を特別扱いせず、実力でポジションを勝ち取らせた。とにかく甘やかさなかった。献身的な守備を求め、ファイトさせた。攻守にわたって運動量を要求した。それができなければ試合に出さなかった。
 そのときの経験が今になって生きている。彼のサッカーに対する意識を変え、勝ち取るというメンタリティーを育んだと思う。今年、どのクラブに移籍しても、久保建は進むべき道を自ら切り開いていくだろう。楽しみは尽きない。
(元日本代表)

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