【雨乃日珈琲店だより ソウル・弘大の街角から】(31) 済州島への旅 知人のカフェ 変わらぬ笑顔 

2020年7月25日 05時00分 (7月25日 11時01分更新)
「石風女」(2020年)。済州島は豊かな自然と歴史・風俗的な背景から、この三つが多いとされ、三多島という別名でも呼ばれている

「石風女」(2020年)。済州島は豊かな自然と歴史・風俗的な背景から、この三つが多いとされ、三多島という別名でも呼ばれている

  • 「石風女」(2020年)。済州島は豊かな自然と歴史・風俗的な背景から、この三つが多いとされ、三多島という別名でも呼ばれている
  • 観光客が押し寄せる東門市場=韓国・済州市で
 ◇ 文・清水 博之 ◇ 書・池多亜沙子
 六月末に一泊二日で済州島に行ってきた。コロナ禍で海外に行けない今、韓国人の注目を集めている南の島だ。
 韓国は毎日数十人単位で新規感染者が現れており、引き続きマスク着用や社会的距離に気を使う雰囲気だが、それでも街には人が戻り経済活動は回復しつつある。実際当店も、五月上旬のクラブ発集団感染で弘大が静かになって以降、日に日に客足が増すのを実感している。国内旅行の需要も増えており、済州への航空便利用者は既に前年比八割ほどに回復、夏休みはホテル予約件数が前年比二倍だと聞く。新婚旅行で訪れるカップルも多いとか。
 今の済州の様子が知りたい、おいしい海鮮料理が食べたい、店舗の大家が経営する(つまり我々の血と汗の家賃で建てられた)ホテルを確認したい…など、今回の旅にはさまざまな目的があったが、最大の目的は、弘大から済州に移転した知人のカフェを訪問することだった。二〇〇〇年代後半に日本のカフェを好む韓国人男性が始めた、居心地のいい空間とおいしいカレーのあるお店、それが「カフェ日々(ヒビ)」だ。彼は近所の当店にたびたび寄ってくれ、もちろん私たちも日々さんのことが好きだったが、数年前に結婚を機に環境の良い済州島に移転してしまった。
 済州市内からバスで一時間半、市街地から離れた静かな通りにある新しい店「日々&古白(コハク)」を訪れると、オーナー夫婦と、カフェのためにソウルから移住してきた親しいスタッフのM君が、変わらない笑顔で迎えてくれた。居心地の良さもそのままで、カレーはパワーアップ。立地にも関わらず順番待ちが出るほどの人気で、これぞ才能だなと思ってしまった。話を聞くと、春はコロナの影響を受けたが、五月後半に韓国政府が災難支援金を各世帯にばらまいて以降、お客が戻ってきたという。
 穏やかな彼らの表情と、島に流れる緩やかな風に出会い、コロナ禍のストレスからつかの間解放された旅となった。海外にまた行けるようになっても、時間を見つけて訪れたいと思った。
 (しみず・ひろゆき=ライター、いけだ・あさこ=書家、金沢市出身)

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