中日の勝負の選択は“最善手”だったか…得点呼ばぬ犠打と大量失点へ続く四球 首位・巨人とのベンチの差
2020年7月24日 11時07分
渋谷真コラム・龍の背に乗って
◇23日 中日1-6巨人(ナゴヤドーム)
同点でも勝ちパターンの福。何としても本拠地で首位・巨人に勝ち越すというベンチの強い意志の表れだ。ところが頼みの綱がプツリと切れた。いつかは打たれる。それがこの日だった。ただ、惜しいのが勝負の選択である。
同点でも勝ちパターンの福。何としても本拠地で首位・巨人に勝ち越すというベンチの強い意志の表れだ。ところが頼みの綱がプツリと切れた。いつかは打たれる。それがこの日だった。ただ、惜しいのが勝負の選択である。
連打で無死二、三塁。阿波野投手コーチがマウンドへ向かった。左腕の福。調子の上がらぬ丸。簡単に抑えられる相手だとは言わないが、少なくとも丸で勝負だとは思った。ところがストレートの四球。塁を埋めてしまって、丸とは打率が1割近く違う岡本に痛打を浴びた。
「あそこは勝負ですよ。それで3ボールになったので、無理に勝負にいかなかったところですけど。まあ(歩かせる)つもりはなかったので」
与田監督は、指示は「丸と勝負」だったと明かした。もちろん福も承知していた。ただ、ストライクが入りきらず、大量失点へとのみ込まれていった。
勝機はその前にあった。3連打で追いついた6回。なおも無死一、二塁だった。5番・阿部に犠打。中軸だろうが送るときは送る。巨人の内野は前進守備。ただ、6番・京田から打順は下がっていく。巨人の先発は左腕のメルセデス。ベンチに右打者は前夜の4番、A・マルティネスと今季好調の木下拓がいた。ただ、捕手を使い切ることは許されない。使っていいのはどちらか一人。7番以降は打率1割台が並ぶが、一塁が空いている状況では切り札を出しづらい。つまり、全てを京田に託した―。
ここでベンチは手を打った。内野ゴロでも生還できるよう、三塁走者にギャンブルスタートを指示したのだ。リスク承知の勝負手なら、代走はなかったか。遠藤がいた。溝脇もいた。福田は空振りで飛び出し、あわやけん制死。実際には京田、石川昂と連続三振に倒れ、阿部の犠打は得点を呼ばなかった。
巨人は16人の野手のうち、捕手の岸田を残して使い切った。対してA・マルティネスをようやく使えたのは5点を追う9回。層の厚みと明確な役割分担を見せつけられた1敗だった。
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