【石川】能登町の給付金詐取 県外の同姓同名者も標的 オンライン申請 未遂に   

2020年7月21日 05時00分 (7月21日 10時54分更新)
 石川県内の同姓同名の男性になりすまし、新型コロナウイルスの特別定額給付金をだまし取ったとして詐欺などの疑いで名古屋市の男が同県警珠洲署に逮捕された事件で、別の同姓同名の男性も、給付金を不正申請されていたことが、関係者らへの取材で分かった。逮捕された男が、複数の同姓同名の人物になりすましていた可能性があり、署が関連を調べている。
 逮捕されたのは、名古屋市守山区の無職森進一容疑者(50)。東日本のある自治体の担当者らによると五月末、名古屋市守山区の森進一という人物名義のマイナンバーカードで、管内の同姓同名男性の給付金十万円がオンライン申請された。この男性は五月に家族を含む三人分三十万円の給付金を郵送申請し、受給済みだった。
 オンライン申請では、この自治体の男性の住所が入力されていたが、自治体が受け取ったマイナンバーカード情報とは、住所と生年月日が実際の男性の情報と異なっていた。
 この自治体では実際の男性に二重申請があったことを問い合わせ、別人と判断した。名古屋市守山区の申請者に対しては、書面で「支給対象者ではない」と告げ、支給しなかった。
 なりすまされた男性は取材に、自身はマイナンバーカードを所持していないと明かし「どうやって自分の情報をつかんだのか不思議だった」と語った。
 森容疑者は、五月下旬に石川県能登町の世帯主男性本人を除く家族四人分の四十万円を、不正入手した郵送申請書の口座情報などを書き換え申請。六月中旬に自身の口座に振り込ませだまし取ったとされる。署によると「覚えがない」と容疑を否認している。関係者らによると世帯主男性分十万円も、四十万円が不正申請される前、何者かにマイナンバーカードによりオンラインで不正申請されだまし取られており、署が関連を調べている。

本人確認不備の可能性も 


町「マニュアル通り」


 「実際の世帯主に給付済みということもあったが、マイナンバーカード情報を確認したことで別人と判断できた」。不正申請が明らかになった石川県外の自治体担当者は明かす。能登町では、森容疑者と同姓同名の男性分の給付金十万円が不正に申請され、町が実際に十万円を振り込んだことが発覚。町は今後、申請時の本人確認に不備がなかったか調べる。
 オンライン申請では申請者、世帯主の氏名や生年月日、性別、住所といった申請者情報を入力する。カードリーダーにかざすとマイナンバーカード情報が自動入力されるが、いずれも申請者側で書き換えられる。不正申請では、各地の同姓同名男性の名前と住所を何らかの方法で調べ、仕組みを悪用したとみられる。
 一方、これらの申請者情報に加え、各自治体はマイナンバーカードに記録された情報や暗証番号による電子証明も受け取る。これは申請時に書き換えできないため、県外自治体ではこれらを照合し別人と判断した。
 能登町の担当者はオンライン申請の本人確認手順について「国のマニュアル通り行い、複数の職員で確認した」と説明。同町の世帯主の男性はマイナンバーカードを所持していなかったとみられ、担当者は「万が一不備があったと確認されたら、対策を考えないといけない」と話した。
 県外自治体の担当者は「給付金は国が急に決めた制度で各自治体の負担が大きい」と指摘。「膨大なチェック量の中で早く支給しないととのプレッシャーもあり、チェック漏れが出てしまう可能性も否定できない」と語った。(加藤豊大)

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