あわら温泉「グランディア芳泉」 山口 高澄さん(32) 逆風下 アイデア噴出

2020年7月21日 05時00分 (7月21日 10時11分更新)
あわら温泉の発信に向け、若おかみの妻・良子さん(右)と動画撮影する山口高澄さん=福井県あわら市のグランディア芳泉で

あわら温泉の発信に向け、若おかみの妻・良子さん(右)と動画撮影する山口高澄さん=福井県あわら市のグランディア芳泉で

  • あわら温泉の発信に向け、若おかみの妻・良子さん(右)と動画撮影する山口高澄さん=福井県あわら市のグランディア芳泉で

 関西の奥座敷と称される、あわら温泉(福井県あわら市)で有数の規模を誇る温泉旅館「グランディア芳泉」の三代目。新型コロナウイルス感染症の逆風にも負けず、五万円弱で最大四人が一カ月泊まり放題の定額プランをはじめ、ユニークな取り組みを次々と打ち出すアイデアマンだ。「コロナは短期的には確かに試練。だけど、長期的にはチャンスにしたいんです」。不安や重圧も原動力に変えて前を向く。
 最初から後を継ごうと思っていたわけではない。東京の大学時代はキックボクシング選手やコンサルティングを目指したこともあった。卒業後は大手旅行会社に就職して金沢市で勤務。「修業という明確な意識はなかったが、『福井って、あわら温泉っていいよね』と思うきっかけになった」という。
 二〇一三(平成二十五)年七月に入社。営業担当を経て、五年目に常務に就いた。社内の組織改革や従業員教育の徹底、会員制交流サイト(SNS)の活用−。「現場から、次の攻めの姿勢を提案するのが僕の役割だ」。経営者の視点を意識した仕事に手応えを感じ始めた直後のコロナ禍だった。「嘆いていても変わらない。まずは動かないと」。旅館用と家庭用にホワイトボードを購入。「思い付いたことを忘れないように書く。やったら消して、また書く。真っ黒ですよ」。独学で勉強していた異業種の取り組みや戦略を参考に、アイデアは次々に湧いた。
 三月に仕掛けた定額プランは「コロナで部屋が空いている。旅館は格式が高いイメージがあるけれど、今は違う。何回も来てお得に」と発想した。四月の臨時休館中には会席料理や源泉をセットにした「旅館丸ごとテークアウト」を提案。福井県内旅行の宿泊代を最大半額割り引く「ふくいdeお泊(とま)りキャンペーン」が始まった七月には「宿泊客のお見送りを一緒にしませんか」と異業種に呼び掛けた。「コロナでイベントも減っている今、フロントブースを商品PRに使ってほしい」とも話す。
 「あわら温泉を、福井を元気にしたい」。全国ニュースにも取り上げられ、若おかみで妻の良子さん(33)と発信する動画投稿サイト・ユーチューブの「若旦那と若女将(おかみ)の旅館チャンネル グランディア芳泉」の登録者も増えてきた。「料理、宿泊、ブライダルにIT。旅館は可能性に満ちている。旅館はむちゃくちゃ面白い」。熱い温泉愛を胸に、笑顔でコロナ禍に挑む。 (北原愛)

【会社メモ】1963(昭和38)年、芳泉荘として創業した。自動車社会を見越し、72年には中心部から移転し、73年に法人化。93年にグランディア芳泉に改称し、鉄筋12階建ての新館も完成した。坂井平野を望む大浴場の眺望は格別。露天風呂付きの別邸なども備え、収容人数は600人。従業員100人。福井県あわら市舟津。


関連キーワード

PR情報

かがやき新世代の最新ニュース

記事一覧