<三河撮りある記>高浜「銀のしゃちほこ」 瓦製で「金」に対抗
2020年7月19日 11時49分 (3月24日 14時43分更新)
高浜市のかわら美術館の正面玄関で「銀のしゃちほこ」が来館者を出迎えている。瓦製のいぶし銀。地元の鬼師(鬼瓦職人)たちが、名古屋城の金のしゃちほこに対抗して作った。大きな目玉は横幅四十センチ近くあり、間近で見ると迫力満点。金しゃちよりも約六十センチ大きく、雄は高さ約三・二メートル、雌は約三メートルある。
銀しゃちは一九九五年に製作された。美術館の開館の年に設置されたが、開館を記念したわけではない。事情を探るため、製作の中心となった瓦製造販売「丸市」(高浜市屋敷町)の加藤元彦会長(83)を訪ねた。
加藤さんは倉庫の奥から引っ張り出したしゃちの図面を広げて出迎えてくれた。「名古屋城の工事に関わった友人から金しゃちの図面をもらって、これよりも大きな物を作ろうと思い立った」と、きっかけを振り返る。
当初は衣浦港に架かる衣浦大橋のたもとに、市の玄関口のシンボルとして設置するつもりだった。しかし道路拡幅工事の計画などで断念したという。銀しゃちは、美術館玄関の形状に合わせて別々の方を向いている。鉄製の台に仮置きされたまま、もはや四半世紀が過ぎた。
「しゃちは本来、向き合って置くべきだ。仮置きのままい...
おすすめ情報