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朝乃山の『縄跳び10分』には泣きたくなった おそらく白鵬が独走で優勝するだろう[北の富士・7月場所展望]

2020年7月18日 23時24分

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春場所で幕内優勝を果たした白鵬。北の富士さんは7月場所でも優勝候補の筆頭とみる

春場所で幕内優勝を果たした白鵬。北の富士さんは7月場所でも優勝候補の筆頭とみる

 7月場所の展望に入る前に、九州地方で甚大な大雨の被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。力士たちの相撲が、少しでも皆さま方の心の安らぎや励ましとなっていただけるなら幸甚に存じます。
 何か理事長のあいさつみたいになってしまったが、とにかく力士たちはこの未曽有の惨事の時に相撲を取れることをよく理解し、心を込めて土俵を務めてもらいたい。だから今場所は勝った負けたより、いかに良い相撲を取るか、心を打つ相撲を取れるかが大事だと思う。親からもらった頑強な体で「コロナ」なんか吹っ飛ばす気力を見せ付けてくれ。
 それでは展望といきますか。夏場所が中止になったので、相撲を見るのは春場所以来である。情報は全くない。誰が好調で誰が不調か、皆目見当が付かない。情報通の舞の海君でもお手上げである。
 それでも予想をしなければいけない。初日に体を見れば、ある程度の好不調の見分けは付くだろうが、残念ながらそれでは間に合わない。勘に頼る以外ない。共通して言えるのは、全員稽古不足ということである。土俵が使えない時は筋トレしかない。街のジムは閉鎖しているので、結局は自宅か部屋でやるしか手はない。
 最近はトレーニングルームのある部屋もあるらしいが、相撲取りは土俵の上で稽古してナンボのものである。肝心の稽古もせずバーベルを何百キロ持ち上げたってクソの足しにもならない。昔の相撲部屋はダンベルひとつ置いていなかった。ひたすら四股、てっぽうのみ。「四股てつ3年」と言って、これさえみっちりやると3年で十両になれると言われたものだ。
 今、これを実行しているのは白鵬くらいなものだろう。テレビで朝乃山が、師匠に縄跳びを勧められて一日10分やってます。これには泣きたくなってしまった。そんなもの、俺だってできる。まあ高砂親方は面白い人だから、多分冗談だと思うが、飛ぶ鳥を落とす勢いの新大関が縄跳び10分は、あまりにも情けない。
 いけない、また脱線したようだ。全力士が稽古不足は条件が同じである。であるから、実力のある者が勝つのは当たり前である。白鵬は夏場所の中止で、十分に休養できて体調は悪くないだろう。恐らく独走状態で優勝するだろうと私は思う。
 それに続くのは鶴竜と言いたいが、朝乃山の勢いの方を買う。縄跳び10分が少し気になるが、平常心で取れたなら白鵬と優勝を争うだろう。貴景勝は押し相撲だけに稽古不十分はきつい。とにかく、かど番だけは脱出したいところ。
 それに続くのは御嶽海。持ち前の思い切りの良い相撲が取れたら3度目の優勝も夢ではない。東関脇の正代にも期待したいが、三役に定着する力が付いたか、まだ信用はできない。
 三役と幕内上位には、なかなか良い顔触れがそろっている。大栄翔、隆の勝、阿武咲らの押し相撲が上位にとっては要注意であろう。
 炎鵬と照強が存分に働けば、相撲勘の鈍っている大きな力士はついて行けないだろう。幕内下位には琴ノ若と琴勝峰の期待の若手力士がいる。いずれも敢闘賞候補である。思い切り暴れてもらいたい。
 将来を嘱望される力士がいる一方で、土俵を去る力士もいる。元関脇栃煌山がひっそりと引退を発表した。一時は大関も期待された好力士だったが、体の硬さとけがの多さが持ち前の地力を発揮することを妨げた。真面目で正直な相撲は好感度抜群の力士ではあったが、また一人、惜しい力士がいなくなったのは残念。
 私の思い出は、もろ差しになった栃煌山が把瑠都に両上手から高々とつり出された一番(2009年春場所)。つられた栃煌山がぴくりとも動かないのを「軒下につるされたシャケじゃあるまいに、少しは抵抗したらどうだ」と苦言を呈したことがあった。どうもそれ以来、栃煌山は「シャケ」と言われたと聞いている。もしそれが本当だとしたら申し訳ないことであった。あのころは私も若かったので、毒舌も多かった。今は「仏の北の富士」と言われているのに。
 とにかく、今場所はどんな相撲が飛び出すやら、期待より不安の方が大きいのが正直なところであります。私はコロナにビクビクして放送することになります。
 それでは十五日間、よろしくお付き合い願います。(元横綱)
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