専門家と学校 結びます サービス「複業先生」

2020年7月16日 05時00分 (7月16日 05時00分更新)
起業家の原田奈実さんとオンラインでつないで、生徒に社会課題の解決への思いなどを語る金谷智さん=富山県滑川市の滑川高で

起業家の原田奈実さんとオンラインでつないで、生徒に社会課題の解決への思いなどを語る金谷智さん=富山県滑川市の滑川高で

  • 起業家の原田奈実さんとオンラインでつないで、生徒に社会課題の解決への思いなどを語る金谷智さん=富山県滑川市の滑川高で

✓キャリア教育の授業


 ITや起業、語学などさまざまな分野のスペシャリストと、教育現場をつなごうとする人がいる。富山県高岡市出身で、IT教育の推進を支援する「LX DESIGN」(東京)の金谷智社長(30)だ。新たに始めた外部人材と学校を結ぶサービス「複業先生」を通して、「生徒たちに将来をもっと深く、現実感を持って考えてもらえる機会を提供したい」と意気込む。(蓮野亜耶)
 七月初旬、金谷さんは滑川高校(富山県滑川市)の教壇に立った。「複業先生」を利用し、東京で規格外野菜をスムージーにして販売する原田奈実さん(25)を招いた授業があり、金谷さんがオンラインで原田さんと対話しながら起業の苦労や、フードロスの解決への取り組みなどを生徒たちに語りかけた。
 複業先生は、学校側が子どもたちに教えてほしいテーマや報酬などを記した求人案件を専用サイトに登録し、先生として活動したい人も同様に登録することで、双方をマッチングするサービス。教員免許の有無は問わない。現地に赴いて授業をすることも、オンラインでの授業も可能。期間も一時間から数週間と幅広い。すでに大手IT企業の社員やスポーツ選手らが登録しているという。

✓「本物」に会える


 「本物のエンジニアに会ったことがない」。富山県で技術者を目指す高校生を対象にアプリ開発の支援をした際、ある生徒がつぶやいたひと言がサービスを立ち上げるきっかけだった。
 「本物とふれ合えず、リアリティーを持って将来を考えられない教育現場になっている」と金谷さん。キャリア教育を重視する学校は多いが、最先端の分野で働く人を探す難しさや、どの授業にどんな人が最適か分からないなど、学校が抱える課題も知った。
 そこで金谷さんが考えたのは、経験豊かな企業人らと、外部人材を登用したい学校のマッチングだった。滑川高校で進路指導を担う小柴憲一さん(51)は「多様な生き方、考え方に触れる機会を与えたいが、地方では人材が限られてくる」と指摘。「距離に制限されず、さまざまな人を呼べるチャンスを広げてくれる」と語り、今後もこのサービスを利用する考えだ。

✓新しい働き方に


 さらに、企業からも新しい働き方として注目を集めている。社員に複業先生を活用してもらい、教壇に立って得た学びや気づきを本業に生かしてもらえたらと考える企業からの問い合わせも増えているという。
 「一人でも多くの人が学校現場に入ることで現場の多様性につながる。さまざまな世界観に触れてもらい、子どもたちの未来が広がればうれしい」と言う金谷さん。今後、石川県でも活用を促していく考えだ。

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