対話的な学びとコロナ対策 「書く」と「読む」で補う 

2020年7月16日 05時00分 (7月16日 05時00分更新)
「作家の時間」で書いた物語を読み合う児童と岩本教諭(中)=名古屋市東区の山吹小学校で

「作家の時間」で書いた物語を読み合う児童と岩本教諭(中)=名古屋市東区の山吹小学校で

  • 「作家の時間」で書いた物語を読み合う児童と岩本教諭(中)=名古屋市東区の山吹小学校で
  • 個人用のホワイトボードを使い、意見を伝える児童=名古屋市東区の山吹小学校で
  • 休み時間ごとに手洗いを徹底する児童=名古屋市東区の山吹小学校で
 本年度から小学校で全面実施された新学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び」(アクティブラーニング)を掲げている。授業では子ども同士の対話を重視するが、新型コロナウイルス対策で思うようにできないのが現状だ。そんな中、工夫して対話的な学びと感染防止を両立している学校もある。 (宮崎厚志)
 「対話は禁止。子ども対教師の古典的な授業が進んでいる」。アクティブラーニング元年となるはずの本年度。準備をしていた直後のコロナ禍で出ばなをくじかれた愛知県内の小学校教諭の男性は、ため息をついた。
 本紙が実施した中部地方の教育委員会に対するアンケートでも「子ども同士が密着する授業内容は避ける」「学習の遅れを解消するために授業の効率化を進める」などの回答が並んだ。コロナ禍で「詰め込み型」に逆戻りしているような状況となっている。
 そんな中、「主体的・対話的な学び」を実現しようと工夫する教員もいる。名古屋市東区の山吹小学校五年二組の岩本歩教諭(38)はその一人。「『書く』と『読む』によるコミュニケーションで、子どもに必要な対話の八割ほどは補える」と話す。
 代表例が国語だ。週に二こまを「作家の時間」と呼び、各自が自分のペースで物語を作る。児童は自由に好きな本を読みながら題材を集めて下書きをし、先生や友達に読んでもらっては修正と校正を重ねる。
 「先生、切ない恋って、どんな恋?」。そう質問していた桜井希さんは、四作目となる恋愛小説に挑戦中。「みんなで相談しながら書くのが楽しい」。教室の後方にある棚には作品が並び、誰でも手に取ることができる。年に数回、作品集にまとめ、保護者にも読んでもらう予定だ。
 「書く」と「読む」による対話は、国語に限らない。図工の作品には、児童同士で感想を付箋に書いて張り付ける。教室内には大小さまざまなホワイトボードを用意。小さなマイボードに書き込んで声を出さずに意見を伝えたり、円形のボードを四人で囲み、距離を保ちながらグループで対話を行ったりする。
 「『書く』は『話す』よりもしっかりと自分の考えを表現できるし、読んでもらうことで認められている感覚も得られる」と岩本教諭。対話の不足を補う以上の効果も感じている。

感染予防はシンプルに

 山吹小の感染対策は手洗いとマスクの着用、換気というシンプルな三本柱。特に休み時間ごとの手洗いを最重要対策と位置付ける。
 子どもたちの接触をどこまで制限し、何を消毒すべきか。手探りの教員同士も不安を抱えるが、「細かいルールを作りすぎて、子どもがつらい思いをするのは避けよう」と一致。「グループでの対話は距離を保って五分まで」など、感染症専門医による解説動画も参考に、方針を決定した。「対話による新たな発見がなければ、学校で学ぶ意味はない」と山内敏之校長。保護者には丁寧に方針を伝えており、感染の不安を理由に欠席する児童は一人もいないという。

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