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<東京パラリンピックへの道> (12)「パラスポーツを応援する草の根運動の会(渋谷)」

2019年1月18日 02時00分 (4月13日 12時35分更新)

昨年5月の発足会に集結した会員たち(渋谷パラ草の会提供)

 二〇二〇年、五輪はきっと観客も集まるだろう。でもパラリンピックはどうだろう。まだ知られていない競技も多く、会場に足を運ぶ人はどれくらいいるだろう-。「皆でパラリンピックを見に行こう」と三年前、四十人ほどが集まった異業種交流会の場で高橋千善(ちよし)さん(70)が思いつきで口にしたのが「パラスポーツを応援する草の根運動の会(渋谷)」、略称「渋谷パラ草の会」の始まりだった。
 渋谷区で生まれ育ち、会社勤めを経て現在は不動産賃貸業などを手掛ける同区道玄坂の寿商会社長を務める。パラリンピックで区内では国立代々木競技場で車いすラグビーとバドミントン、東京体育館で卓球の計三競技が開かれる。「地元である競技は、予選から会場を満員にしよう」。会の目的はまず「観客として応援すること」だ。
 口にはしたものの、組織にするまでは簡単ではなかった。当初は「パラリンピックを応援する勝手連」と名づけ、その場にいた四十人が十人を集め、その十人がまた周りの人を集め…と賛同者が増えるのを願ったが、活動らしいことはできなかった。「もうやめようか」と思った昨春、仕事でパラリンピック関連の担当もしていた以前の勤め先の後輩が手伝いを申し出てくれた。
 「やっぱりやらなきゃ」と思いとどまり、まずは会の発足を宣言する場を設けることに。名称も、パラリンピックという言葉は公式に使えないので改め、昨年五月九日、区内の岸記念体育会館で発足会を開いた。区も活動趣旨に賛同してくれ、百八十人も集まった。会員は現在六百人を超えた。
 会は入会費も年会費もなく無料。会員になると定期的にパラスポーツ関連情報を伝えるメルマガが届き、区が主催するパラスポーツ観戦事業などへの参加の誘いが来る。もちろん前提は、二〇年の大会を現地観戦すること。チケットは各自で買い求めてもらい、周りにも声を掛け、より多くの人に観戦してもらうのを願う。
 誰もが見に行けるようにするための環境づくりにも目を向けるようになった。「街を歩いていて、バリアフリーかどうかにも気づく。会の活動を、街の人が自然に共生社会をつくろうとするきっかけにしたい」と高橋さん。パラスポーツを応援する機運やより良い環境づくりは「二〇年以降も続けなければ」と話す。
 地域の町会など既存の団体も、パラリンピックに関心はありつつ、なかなか新たな活動ができずにいる。区オリンピック・パラリンピック推進課の田中豊課長(55)は「実践をしてくれる渋谷パラ草の会はありがたい。他の団体にも『うちも何かやろうかな』と刺激になっている」と話す。
 一六年リオデジャネイロパラリンピックを現地視察した田中課長は、「おせっかいな人がたくさんいる街の雰囲気に驚いた。バスに乗るのに戸惑っていると一緒に乗って教えてくれうれしかった。東京でもこの雰囲気にしたい」と考える。競技を誰もが一緒に観戦し楽しめるよう、街全体で協力し合う。高橋さんも理想とする姿だ。
 パラスポーツを実際に体験してみる場として、会では三月三日午後一~四時、同区の都立広尾高校体育館で「第一回渋谷運動会」を開催する。ボッチャやブラインドテニス、車いすなどを使ったリレーを行う予定。参加無料で、障害の有無や年齢を問わず誰でも歓迎し、当日参加も受け付ける。応援や観戦だけでも可能だ。
 入会や渋谷運動会の問い合わせは、渋谷パラ草の会=電03(3461)5766、ファクス03(5458)8003、メールinfo@parakusa.com=へ。 (神谷円香)

「まず渋谷である競技は予選から満員にして応援したい」と意気込む、世話人代表の高橋さん=東京都渋谷区で

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