中日「代打・三ツ間」もいつかは笑い話に!?星野監督もやらかしていた「誰や?」事件【増田護コラム】

2020年7月11日 12時28分

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星野監督(右)

星野監督(右)

  • 星野監督(右)
 まだ分からないことも多い。野手を使い果たし、代打・三ツ間でゲームセットになった7日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)。岡田、加藤の順で交代させた与田監督が 球審のところに2度も出向いたのはなぜ? ヤクルトベンチはいつ弾切れに気づいた? 申告敬遠で満塁となり、投手と対戦した石山の心理は? 真相がわかるのはまだ先のようだ。
 20年前に起きたあの「事件」の全貌が分かったのも、少々時間がたってからだった。2000年9月13日、星野仙一監督率いる中日はナゴヤドームに広島を迎えた。
 先発の野口は4点リードをもらいながら3回ディアスに2ランを許し、さらに2点追加点をもらっても4回に新井に被弾。6―3とリードはあったが星野監督はぶち切れた。交代だ。山田投手コーチがマウンドに向かう。頭に血が上った指揮官は事前に聞いていたはずのリリーフ投手の名前を忘れてしまった。山田コーチを呼び戻すわけにもいかず、「誰や?」と加藤バッテリーコーチを怒鳴りつけた。
 加藤コーチはあわててブルペンに電話したが、星野監督の口調そのままに「誰や?」と言ったのが悲劇の始まり。そう聞かれれば誰だって自分の名を名乗る。「はい、宮越です」。ガチャン! ブルペンが大騒ぎになったのはその直後だった。場内アナウンスがこう告げたからである。「野口に代わりまして、ピッチャー宮越」。
 今回、そのドタバタの舞台裏を確認するため高橋三千丈さんに連絡をとった。当時のブルペン担当投手コーチである。
 「2番手は中山で行くことに決まっていたんです。星野さんも分かってたはずです。宮越と聞いて、山田さんだってびっくりですよ」
 でもなぜ宮越が電話をとったんです?
 「中山は肩が仕上がったため、ロッカーへアンダーシャツを着替えに戻っていたんです。それをボクは呼びに出たところに電話があった。どうしてこうなったか宮越に聞いたら、『誰だ』と聞かれたので名乗りました、と。後になれば笑い話ですが、あの時は真っ青でした」
 全く投球練習をしていなかった宮越は急きょマウンドに上がり、5球目を朝山にレフトスタンドに運ばれ、試合も結局は6―8で逆転負けした。
 時は流れ、筆者は「人違い事件簿」と題した特集を書いた。数学者と間違えられて中学校の講演に招かれたダイエー・秋山、先発前にカツ丼を食っていたと誤認されて野村監督にこっぴどくしかられた楽天・藤原、そして宮越のひとコマ…。その記事が楽天ベンチで話題になったそうだ。監督は星野さん、そしてマネジャーは宮越さん。当時の役者がそろっていた。
 「あれがあったから、今があるんじゃないか、なあ宮越」。照れ隠しか星野さんはそう話し、周囲は大爆笑になったそうだ。ミスの質は違っても名監督だってやらかすのである。
 今回のミスが笑い話になるかどうか。決まるのはこれからである。

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