都市の繁栄表す巨石

2019年7月13日 18時59分 (7月10日 19時06分更新)
一乗谷朝倉氏遺跡の石造物=福井市西新町の盛源寺で

一乗谷朝倉氏遺跡の石造物=福井市西新町の盛源寺で

  • 一乗谷朝倉氏遺跡の石造物=福井市西新町の盛源寺で
  • 白山平泉寺の石垣と石畳道=勝山市平泉寺町平泉寺で
 福井市の一乗谷朝倉氏遺跡、福井城跡や勝山市の白山平泉寺、七里壁などの「石」に着目したストーリー「四百年の歴史の扉を開ける旅~石から読み解く中世・近世のまちづくり 越前・福井~」が五月二十日に日本遺産に認定されました。
 初回は、まず日本遺産に認定されたストーリーについて紹介します。
 私たちの身近にある石。中世・近世の越前は、石の豊かな生活文化をもっていました。発掘された一乗谷の武家屋敷や平泉寺の坊院を囲む石垣、平泉寺の長大な石畳道をみれば、そこに費やされた莫大(ばくだい)な経済力や労働力を想像できるでしょう。なかでも、一乗谷の上下城戸や平泉寺の巨石は都市の繁栄や権力を表すものでした。
 しかし、一乗谷と平泉寺だけでは日本遺産にはなりません。福井城、勝山城下町、安波賀(あばが)街道などさまざまな文化遺産をひとつの地域の魅力、両市の素晴らしさとして伝える試行錯誤を繰り返し、一乗谷と平泉寺、福井、勝山を「石」で結ぶストーリーが誕生しました。日本遺産を目指して五年。ようやく認定を勝ち取ることができたのです。
 足羽山で産出された笏谷石(しゃくだにいし)は墓石として利用されたほか、一乗谷や福井城下町では土木、建築の資材として多用されています。とくに福井城跡の石垣はすべて笏谷石でできています。雨に濡(ぬ)れるといっそう青く輝く笏谷石は、福井の街並みを彩る名石ともいえるでしょう。
 九頭竜川の河岸段丘、七里壁を巧みに取り込んだ勝山城下町は、高さ四㍍以上の石垣を川原石で丁寧に積み上げ独特の風情を醸し出しています。
 石づくりのまちを見つめ耳を澄ましてください。日本遺産にふさわしい福井の誇る歴史を私たちに語り出してくれるはずです。
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 この連載は、福井市文化振興課の田辺朋宏主幹と勝山市教育委員会の阿部来学芸員が担当し、日本遺産を構成する文化財や最新の情報を月一回のペースで紹介していきます。

 日本遺産 国内外への発信を通じて観光誘客や地域の活性化を目的に、地域の有形、無形の文化財と歴史的魅力を伝える「ストーリー」を文化庁が認定。2015年にスタートし、今年で件。東京五輪が開催される年までに100件程度に増やす。県内ではこれまでに、小浜市と若狭町の「鯖街道」(15年)、越前町が参加している「六古窯」(17年)、敦賀市、南越前町、坂井市、小浜市が加わっている「北前船」(17年と18年)が認定されている。


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