コロナ変わる越える エイグローブ・小粥おさ美会長 中小の海外販路開拓

2020年7月10日 05時00分 (7月10日 05時01分更新)
「商品の『見せ方』の重要性が高まった」と語るエイグローブの小粥おさ美会長=浜松市中区で

「商品の『見せ方』の重要性が高まった」と語るエイグローブの小粥おさ美会長=浜松市中区で

  • 「商品の『見せ方』の重要性が高まった」と語るエイグローブの小粥おさ美会長=浜松市中区で
 新型コロナウイルスの世界的流行で国境の往来が制限され、海外市場を目指す中小企業の動きを妨げている。中小の販路開拓を支援するエイグローブ(浜松市中区)の小粥おさ美会長(50)は、正確な情報に基づく需要の見極めと、実際に行かなくても製品の魅力が伝わるような「見せ方」が大切だと説く。 (聞き手・久下悠一郎)

◆魅力伝わる「見せ方」を

 −海外に赴いてPRするのは、今は難しい。
 県産の海産物やお茶を紹介するフェアを六月に米ロサンゼルスのスーパーで開いた。生産者との現地入りは断念し、製品を送って現地で雇った人に説明してもらったが、感染対策で試食は禁止。歯がゆかった。
 −海外のバイヤー(仕入れ業者)との商談は従来、オンラインが主流だ。
 バイヤーと生産者をつなぐシステム「ウェブエキスポ」を運営し、文字や映像のやりとりを通訳しながら支援してきた。とはいえ、現地で直接売り込める展示会を希望する生産者の方が圧倒的に多い。
 −言葉も風習も異なる人たちに製品を直接説明できないのは痛い。
 それは以前から同じ。バイヤーは消費者の手に取ってもらえるかを重視する。店頭に並べば説明者はいない。米国は料理の習慣があまりなく、温めて食べる手間いらずのものが売れる。干物もレンジでチンできる包装が必要だ。「見せ方」の重要性が、コロナ禍でより研ぎ澄まされて顕在化したといえる。
 −中小の経営は苦しく、海外展開どころではないのでは。
 海外志向が強い経営者は、日本の消費が停滞していくと考え、今こそと海の向こうに目を向けている。感染拡大を抑えたベトナムや、トランプ大統領が経済優先にかじを切った米国への関心が高まっている。
 −日本製品に商機は。
 例えば、米国では抹茶がアマゾンでものすごく売れている。家で過ごす人が増えたことと、健康意識の高まりが背景にある。抹茶に含まれるカテキンの機能面が注目され、実際の効果は別として「やせる」「よく眠れる」と人気だ。欲しがられるものを見極める力が求められる。
 −失敗しないためには。
 偏った情報をうのみにしないこと。「ベトナムで青森のリンゴが一個千円で売れている」と日本のテレビで報じられたとする。意外な話題で大きく取り上げられるが、実際には東南アジアは所得差が大きく、多くの人が買うわけではない。現状を正しくつかむことが海外に踏み出す一歩。われわれも現地のリアルな情報を提供して後押ししたい。

 おがい・おさみ 1999年オーストラリア・クイーンズランド州立大大学院修了。現地の旅行会社勤務を経て、スズキなどで海外事業や通訳・翻訳に携わった。2013年エイグローブ設立。全国の女性起業家を表彰する17年度の「J300アワード」で最高の大賞に選ばれた。磐田市出身。


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