『真っ赤な埼スタ』の裏には…「浦和スタッフ全員が歯を食いしばった」5日間 最後は『本部長』も加わった!

2020年7月9日 22時01分

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ゴール裏の観客席に浮かび上がったコレオグラフィー

ゴール裏の観客席に浮かび上がったコレオグラフィー

  • ゴール裏の観客席に浮かび上がったコレオグラフィー
  • 試合を終え、無観客の観客席に向かって一礼する浦和イレブン

壮大な『コレオ』はサポーターのアイデア

 約4カ月ぶりに再開したJ1の浦和-横浜M(4日)の会場、無観客の埼玉スタジアムが真っ赤に染まった。南ゴール裏に「WE STAND BESIDE YOU(私たちはそばにいる)」の文字、北ゴール裏にはシャーレ(優勝銀皿)を描いたコレオグラフィーが浮かび上がる。浦和競技運営担当の白川潤部長(44)は「クラブスタッフ全員が歯を食いしばってやった」と明かす。壮観な演出にはクラブの信念とこだわり、サポーターへの思いが凝縮していた。
 新型コロナウイルスの影響による無観客試合は、浦和にとっても悩ましい問題だった。リーグ1位を誇る年間入場料収入(昨季23億円)は大幅な減収が見込まれ、立花社長は今季約10億円の赤字に転落する見通しを明らかにしている。
 「逆転の発想でできることはないか」。部署の枠組みを超え、クラブ内で連日、話し合いが始まった。「ONE HEART TOGETHER!(心一つに)」というキャッチフレーズ、ファンに購入してもらったタオルマフラーや旗を掲出するプランなどが次々と生まれた。壮大なコレオの作成はサポーターから授かったアイデアだった。
 「浦和レッズの強みは団結、仲間、熱さ。コロナによって『社会的距離を取りなさい』『密に接してはいけない』などとまるで逆の方向に向かっている中で、ファミリーのつながりを目に見える形で示したかった。コロナ後に『またスタジアムへ行きたい』と思ってもらえるような演出をしたかった」(白川部長)

後援会、ボランティア、下部組織のコーチらが自主的に集まり…

 クラブスタッフに加え、後援会、ボランティア、下部組織のコーチたちがどこからともなく自主的に集まり、観客席へ向かった。「密」を避けながら、赤、白、黒色のビニール製シートを5日間で6万席に黙々と取り付けた。
 午前7時から階段を昇り降りし、1席ごとにしゃがんでビニールを固定する労力は想像以上だったが、「6万席は相当の数。これだけ多くの人に応援してもらっているんだと改めてしみじみと思った」。白川部長はそう言って、うれしそうに振り返った。
 試合前日にはフットボール本部の戸苅本部長、土田スポーツダイレクター、西野テクニカルダイレクターも作業に加わった。想像を超える難局にあって、誰に言われるでもなく、1人1人がクラブのために力を尽くそうとする思いが結集。白川部長は「クラブが一つになった気がした」と言う。
 一大パノラマにSNS上では感嘆の声が飛び交った。試合後、フラッシュインタビューを終えたGK西川は1人でピッチの周りを歩いていた。その両眼にはうっすらと涙が浮かんでいた。
 「クラブがサポーターのバトンを受け継いで、1枚1枚ビニールをはってくれた。2014年の無観客とは違う雰囲気でプレーできた。感謝の気持ちでいっぱいです」
 静寂に包まれた無観客の埼玉スタジアムには、目には見えぬクラブの思いと熱が確実に充満していた。
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