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潜在的不登校 子のサイン、見逃さないで

2020年7月9日 05時00分 (7月9日 11時27分更新)
学校再開から約1カ月が過ぎ、授業を受ける生徒ら(写真と本文は関係ありません)

学校再開から約1カ月が過ぎ、授業を受ける生徒ら(写真と本文は関係ありません)

  • 学校再開から約1カ月が過ぎ、授業を受ける生徒ら(写真と本文は関係ありません)
 新型コロナウイルス対策で一斉休校していた学校が再開して一カ月あまり。「新しい学校生活」へのストレスもある中、不安に耐えながら通っている「潜在的不登校」の児童・生徒が多い時期と指摘されている。専門家は「今は早期の対応ができる大事な時。子のサインを見逃さず、適切な声掛けをして」と呼びかける。(北村希)
 潜在的不登校は「隠れ不登校」とも呼ばれ、主に、学校や友人関係への不安や葛藤を抱えながら登校している状態を指す。
 日本財団が二〇一八年に中学生を対象に行った調査では、欠席が三十日未満の潜在的不登校の生徒は全国で約三十三万人に上る。文部科学省が「年間三十日以上の連続・断続欠席」と定義する不登校の約三倍だ。
 環境が変わる年度当初は潜在的不登校が多くなる。特にスタートが遅れた今年は、約三カ月の休み明けから突然、学校で時間やルールに縛られるようになったことに加え、「新しい生活様式」など、子どもたちがストレスを感じやすくなっている。
 不登校生や保護者のカウンセリングを行う一般社団法人「不登校支援センター」(事務局・大阪市)によると、例年、不登校の相談は五月から六月にかけて増える。潜在的不登校の期間を経て休むようになることが多い。今年は「再開から一カ月が過ぎたこれから不登校が増える」(同センター)と見込まれ、家庭での対応が重要になる。
 家で勉強や宿題をしなくなる、先生や友達への愚痴が増える、朝に行き渋りがある、などが前兆。明らかな変化ではないため、見過ごされがちという。
 そんな時、保護者は「不安なことがあったら相談してね」と先回りしてサポートする意思を伝えるのが大切。同センター大阪支部長の佐久真健輔さん(35)は「第三者が客観視するのは重要」と早い段階で専門家に頼ることも勧める。
 サインが見逃されたまま登校を続けると、頭痛や睡眠障害などの身体症状が出て、さみだれ式に休むように。さらには休むことに罪悪感がなくなっていくという。
 休もうとする子に「なぜ行きたくないの?」と質問するのは逆効果。「学校ってしんどい時あるよね」と思いを受け止め、その後に「何かあった?」と聞くのが効果的という。
 不登校支援センター名古屋支部では無料相談=フリーダイヤル(0120)059445=も受け付けている。

弱音吐けず登校…限界

 東京都内の大学に通う静岡県出身の男子学生(20)は、潜在的不登校から不登校になった経験をもつ一人。高校1年の秋だった。
 志望していた進学校に入学したが、朝から晩まで部活と課題に追われ、授業中も居眠りする日々。成績は悪く、仲の良い友達はいない。クラスでは無理して「いじられキャラ」に徹していたが、夏休み明けごろから学校に行きたくないと思う気持ちが強くなった。夜は眠るのが恐く、朝は4時に目覚めることもあった。
 それでも我慢して登校した。「学校は行くのが当たり前だと思っていたし、委員会を休んで責められるのが嫌だった」。家でも学校でも弱音は吐かなかった。
 家族が異変に気付いたのは11月ごろ。テストの点数が悪く両親に怒られた時、ため込んでいた気持ちが言葉に出た。「死にたい」。その後は登校と不登校を繰り返し、2年の時に退学。通信制の高校に通い大学に合格した。

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