証言・日野町事件 (5)逮捕前夜 作山哲平(大津支局)

2020年7月5日 05時00分 (7月5日 05時00分更新) 会員限定
講演する長男の弘次さん(右)と、長女の美和子さん=2019年、滋賀県東近江市内で

講演する長男の弘次さん(右)と、長女の美和子さん=2019年、滋賀県東近江市内で

  • 講演する長男の弘次さん(右)と、長女の美和子さん=2019年、滋賀県東近江市内で
 連日、警察署に呼ばれて取り調べを受けていた阪原弘さん(服役中に発病し二〇一一年に他界)は三日目の夜、とうとう身に覚えのない殺人を「自分がやった」と自白した。
 法廷での証言によると、三人の刑事に取調室で「襟元を持って締め上げられ」「背後から平手でほおを殴られ」「背後から棒で肩を突かれ」「拳(こぶし)で頭部を殴られ」「足で椅子を払い倒され転倒した」という。

おまえらのため自白

 長男弘次さん(59)は逮捕前日、父が帰宅したその夜を振り返る。家にいたのは母(82)と二人の妹、長女美和子さん(57)と次女(55)だった。家の外には刑事が車の中で一晩中、張り込みをしていた。
 父は美和子さんに、警察で自白してきたことを正直に話したという。驚いて聞き返した美和子さんに、父はありのままを打ち明けた。
 阪原さん「おまえらがかわいいから、自白してしもた」
 美和子さん「私らがかわいいって、どういうことなん?」
 阪原さん「嫁ぎ先へ行って家の中をグジャグジャにしたろか、と言われたさけえ、そういうことをされたらお父ちゃんはつらいさけえ、おまえらのために自白してきたんや」
 美和子さん「でも、もしお父さんが殺人犯になっ...

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