【石川】ライチョウひな、卵 無念 野生復帰かなわず 

2020年7月3日 05時00分 (7月3日 09時58分更新)
現地調査で確認されたニホンライチョウの巣の状況=1日、長野県の中央アルプス・駒ケ岳で(環境省提供)

現地調査で確認されたニホンライチョウの巣の状況=1日、長野県の中央アルプス・駒ケ岳で(環境省提供)

  • 現地調査で確認されたニホンライチョウの巣の状況=1日、長野県の中央アルプス・駒ケ岳で(環境省提供)

いしかわ動物園協力の繁殖事業


 絶滅危惧種ニホンライチョウの繁殖事業で生まれた卵を、中央アルプスで唯一生息する野生の雌に育てさせ、野生に復帰させる試みをしている環境省は、雌の巣に卵を移した後に、ふ化した五羽全てが死んだのを確認した。卵三個はふ化しなかった。いしかわ動物園(石川県能美市)は繁殖させた二個を提供していた。
 信越自然環境事務所(長野市)が二日明らかにした。いしかわ動物園、恩賜上野動物園(東京都)、那須どうぶつ王国(栃木県)、大町山岳博物館(長野県)が繁殖した八個の有精卵を、中ア・駒ケ岳(長野県)の雌が生んだ無精卵と入れ替えた。六月三十日と七月一日の現地調査で死んでいるひな五羽、ふ化しなかった卵三個を見つけた。
 付近に設けたカメラに写った映像から、六月二十九日午後にひな五羽がふ化したと推定される。その日夕方に巣の近くをニホンザルが横切り、約二十分後に親代わりのライチョウが巣を離れる姿が写っていた。別のカメラでは、ニホンザルの群れも確認された。調査した信州大の中村浩志名誉教授は「一部のニホンザルがライチョウの巣の中をのぞき込んだため雌が巣から飛び出し、ひなも後を追ったために散らばってしまった。ひなは短時間の間に体が冷えて死んだと考えられる」と推定する。
 環境省と各施設は今後、岐阜、長野両県境にある乗鞍岳で保護した野生ライチョウの三家族(約二十羽)を中央アルプスに移して定着させる。来年はこの家族らで繁殖を試みる予定で、野生復帰の事業は初挑戦の今年が最後になる見込み。
 いしかわ動物園の担当者は「残念な結果になったが、ライチョウの保全にはできる限り貢献していきたい」と話した。園は今年、一ペアが繁殖に取り組んでおり、これから生まれた卵は園内で育てる。 (寺田結)

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