【石川】手話で合唱 輪 広がれ ♪ 「覚えるきっかけに」

2020年6月29日 05時00分 (6月29日 09時57分更新)
フェースシールドを着けて唱歌「ふるさと」の手話コーラスを練習するメンバーたち=石川県小松市で

フェースシールドを着けて唱歌「ふるさと」の手話コーラスを練習するメンバーたち=石川県小松市で

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小松でグループ発足


 明るいメロディーに合わせ、楽しげに手が動く。手話をしながら歌う手話コーラスグループ「Hands Circle(ハンズ・サークル)」が、石川県小松市で発足した。グループ名に込めたのは、手話の輪が広がるようにとの願い。リーダーで介護福祉士の一島昌子さん(57)は「歌と一緒なら覚えやすい。手話を知ってもらうきっかけに」と話す。(青山直樹)
 頭上に上げた両手を、ウサギの耳のように前後に動かす。片手で山の形を大きく描く。うさぎ追いしかの山−。笑顔で合唱するのは唱歌「ふるさと」だ。
 昨年十一月末に発足したが、新型コロナウイルスの感染拡大で活動休止に。今月二十三日に四カ月ぶりにフェースシールドを着けて練習を再開した。一島さんは「感染防止にも気を配って、楽しみながら練習したい」とほほ笑む。
 ハンズ・サークルによると、手話コーラスに特化したグループは珍しい。小松市が開いた手話奉仕員養成講座の受講生でつくった。講座では半年間、手話の基礎を学び、福祉イベントで手話コーラスも披露した。
 「会場の人たちが一緒に手話をしてくれた。一体感があって感動した」。最年長で障害者支援施設職員の岩井義寿さん(61)が振り返る。結成を呼び掛けると、多くの受講生が賛同。メンバーは現在、大学生や社会人、主婦ら十三人だ。
 聴覚障害者は全国に約三十四万人いる。ただ手話は十分に普及しておらず、一島さんらはその敷居の高さを感じる。「歌なら覚えるきっかけにしやすい。記憶にも残る」。練習は月二回。周囲との呼吸や手話の速さに気を配る。「少しずつ上達してきた」と感じる。
 グループは三月に初めての発表会を計画していたが、新型コロナの影響で中止に。ただメンバーはこの間も個別に練習を続けてきた。いずれは聴覚障害者に加入してもらい、輪を広げたいと願う。一島さんは「子どもから高齢者まで、多くの人に手話コーラスを見てもらいたい」と思い描く。

「簡単なあいさつでも安心感」ろうあ連盟

 全国の自治体で、手話の普及を目指す手話言語条例の制定が進んでいる。全日本ろうあ連盟によると、約300の自治体が制定。連盟の担当者は「手話の広がりは確かに感じられる。簡単なあいさつができるだけでも、ろうあ者にとっては大きく、安心感が持てる」と歓迎する。
 厚生労働省が認定する手話通訳士は、6月時点で全国に3826人いる。試験の合格率は10%前後と難関で、石川県内では37人にとどまる。ただ資格が必須なのは政見放送や裁判などの手話に限定されるため、この資格を持たないで活動する人もいる。
 一方、都道府県が認定するのが手話通訳者。石川県では市町が実施する2年間の手話奉仕員養成講座をへて、県の養成研修を3年間受講する必要がある。その上で全国統一試験に合格すれば認定される。同県には4月時点で103人いる。

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