証言・日野町事件 (4)賢いハンス 作山哲平(大津支局)

2020年6月28日 05時00分 (6月28日 05時01分更新) 会員限定
「多くの冤罪(えんざい)事件では、人間関係で自白に落ちる」と話す浜田名誉教授=兵庫県伊丹市内で 

「多くの冤罪(えんざい)事件では、人間関係で自白に落ちる」と話す浜田名誉教授=兵庫県伊丹市内で 

  • 「多くの冤罪(えんざい)事件では、人間関係で自白に落ちる」と話す浜田名誉教授=兵庫県伊丹市内で 

 日野町事件で、奪われた金庫の投棄現場を「知らなかった」という阪原弘さん(服役中に発病し二〇一一年に他界)は、犯行を再現する「引き当て捜査」で、どうして捜査員を連れて、投棄現場までたどり着くことができたのか。
 長年、心理学者として虚偽自白を研究し、阪原さんの自白についても第二次再審請求審で「供述心理学の知見に基づいた鑑定意見書」を提出した奈良女子大名誉教授の浜田寿美男さん(73)は「虚偽自白では『賢いハンス効果』と似た現象が起きている」という。どういうことか。
 十九世紀末のドイツで、「計算のできる賢い馬」と評判になったハンスという馬がいた。例えば、観客の一人が、「十二足す九」というお題を出すと、馬のハンスは、パカ、パカとひづめをたたき始めて、二十一回目でぴたりと止める。群衆は「すごい」と拍手喝采し、新聞でも話題になった。

捜査員の期待に応え

 十六年後、ある心理学者がこの謎を解いた。実はハンスは、真剣に見守る観客の顔や体の微妙な変化を読み取って正解のタイミングをつかんでいたことが判明した。実際、観客に...

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