避難所 3密対策ばらつき 石川県内自治体

2020年6月21日 05時00分 (6月21日 10時57分更新)

人員や施設数・・・ 事情に差


 既に梅雨入りした石川県では、これから秋にかけて台風や豪雨災害など自然災害の危険性が高まってくる。新型コロナウイルスの感染リスクが予断を許さない中で、密閉、密集、密接の「三密」を避ける避難所運営の見直しも急務だ。県内十九市町に取材すると、避難所の運営マニュアルを既にまとめた自治体もあれば、資機材や備品の確保を優先し、準備段階の自治体も。人口規模や財政事情が異なり対応のスピードに差が見られるが、現場の市町からは県に協力を求める声が相次いだ。(田嶋豊、押川恵理子、寺田結)
 本紙は今月九〜十九日に県内十九市町の防災担当課に取材。聞き取りの結果、新型コロナの感染対策を従来のマニュアルに反映したり、改定せずに対応したりと、自治体で対応方針が分かれる形となった。
 県内で先行するのは小松市。市民向けの手引「避難所ハンドブック」(十ページ)を作成し、避難所を運営する市内二十一地区の協議会に配った。手引には、感染防止対策の強化として避難所受付時の対応や避難所の運用方法を明記。イメージ図も用い、対面や滞留を回避する動線の改善も提案する。
 金沢市もマニュアルに対策を追加した。昨年あった千曲川の氾濫で、市は長野市に職員を派遣し、避難所運営に携わった実績がある。長野市の例から、市は本年度から三カ年計画ですべての拠点避難所にテント二張ずつを配備する計画で、熱のある人を一時的に隔離する際にも活用する考えだ。
 津幡町はマニュアルを改定せず、福井県の手引を参考に町独自の対策指針を作成した。指定避難所の小学校では体育館のほか、教室も利用して人を分散させる。受付では千葉市の様式を参考にした健康管理チェックリストを活用するなど、体制整備を急いだ。
 避難所での「三密」を回避するため、国や県はホテルや旅館などの活用検討を促すが、地域によって事情はさまざま。避難者を受け入れられる規模の宿泊施設などが少ない地域では、対応できないケースもある。中能登町は災害規模に応じて避難所の増設も検討するが、「他市町と協力しないと無理だ」と担当者。能登町や志賀町なども候補となる施設が少ないという。
 高齢化が深刻な珠洲市では、間仕切りの設置などで実務的な問題も。「職員がすべての避難所をすぐには回れない」と人員不足などを課題に挙げる。
 一方、感染の拡大防止を念頭に置いた避難所の運営訓練をすでに実施した能美市の担当者は感染の有無を調べるスクリーニング体制を懸念。専門家を交えた講習機会を望む。七尾市の担当者も「自宅待機の濃厚接触者らを把握できず、知らずに受け入れる可能性もある」と不安視しており、感染が疑われる人らの情報提供や初動対応など県との連携が不可欠な課題も多い。
 感染症対策を盛り込んだ避難所のガイドライン(指針)を巡り、国の改定を待っていたため他県に後れを取った石川県。国の通知を体系的に整理し、今月十七日に暫定版として公表したが、市町の不安や要望にどう応えていくのか。実行力が問われている。

学会「避難、躊躇しないで」

 日本災害情報学会は5月15日、新型コロナウイルスの感染リスクを避けることを念頭に災害時の避難に関する提言を発表した。
 提言では、要点として(1)避難所以外の避難(分散避難)も選択肢(2)あらかじめハザードマップ・防災マップなどで危険の有無や程度を確認すること(3)大雨「警戒レベル」の意味を正しく理解しておく−と明記した。
 新型コロナウイルス感染症がまん延する中で、同学会は「できるだけ3密を避けつつ、避難所への避難は命を守る最終手段として躊躇(ちゅうちょ)なく選択して」と指摘。自治体に向けては、避難所以外の施設も避難先として積極的に活用できる体制の整備を求めている。

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