沖縄の痛みを知って 珠洲市出身・坂本菜の花さんに密着

2020年6月20日 05時00分 (6月20日 11時01分更新)

平良いずみさん

金沢でも今夏上映「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」


 沖縄テレビのキャスターで、基地問題など生活に根差した数々の番組も手掛けている平良(たいら)いずみさん(43)=写真。監督を務めたドキュメンタリー映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」では、石川・能登半島の家族の元を離れ、沖縄で多感な高校時代を過ごした少女の目を通し、沖縄の明るさの裏側にある苦しみを描いた。(中山洋子)
 「沖縄で起きていることを県外の特に若い世代に伝えたい」。那覇市出身の平良さんは今作に懸けた思いを口にする。琉球大の一年だった一九九五年、米兵による少女暴行事件があった。当時、TBS系の報道番組「ニュース23」が沖縄の米軍基地問題を粘り強く報じていた。「そこで多くを知った。私もテレビで分かりやすく伝えたいと思ったんです」
 だが、基地が集中する痛みや悲しみも、全国ニュースになるのはわずか。地元テレビ局で働きながら、本土との温度差に苦悩していた時に目にしたのが、石川県珠洲市出身の坂本菜の花さん(20)の新聞コラムだ。
 二〇一五年春に那覇市のフリースクール「珊瑚(さんご)舎スコーレ」高等部に入学した菜の花さんは、卒業までの三年間、北陸中日新聞地域版でコラム「菜の花の沖縄日記」を毎月つづっていた。読みながら直感した。「まっすぐな言葉を持っている。沖縄に本気で向き合ってくれている、この子に取材したい」
 一七年秋に密着取材を開始。菜の花さんは、スクール併設の夜間中学校に通う高齢者や米軍機事故の被害者らとの交流を通じ、太平洋戦争の沖縄戦で負った深い傷痕や、米軍基地を押しつけられている住民の痛みに心を寄せていった。一八年春の卒業までを追って制作した番組は、同年の「『地方の時代』映像祭」でグランプリを受賞した。
 監督として手掛けた映画には卒業後の一年間も加えた。再編集の期間中、普天間基地の辺野古移設に反対した翁長雄志(おながたけし)前知事の死や、辺野古埋め立てに七割が反対した県民投票もあった。「沖縄で起きていることは政治ではなく、命と暮らしの問題」と訴える。ウチナーグチ(沖縄の言葉)で「ちむぐりさ」とは、誰かを思い、胸が痛むという意味。菜の花さんの姿に「希望」を見ているという。

【プロフィール】たいら・いずみ=1977年、沖縄県生まれ。大学卒業後、アナウンサーとして沖縄テレビに入局。番組制作にも関わり、放送界で活躍した女性に贈られる「放送ウーマン賞2019」を受賞。全国で予定された映画「ちむぐりさ−」の公開は、新型コロナ問題で一時中断していたが七月から再開。金沢市香林坊のシネモンドでも夏ごろに上映される。


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