<EYES> 教育哲学者 苫野一徳さん 夏休み短縮に危機感

2020年6月18日 05時00分 (6月18日 10時47分更新)
 長く続いた休校期間中の学習を取り戻すため、今、多くの自治体が夏休みの大幅な短縮を予定している。子どもたちの学習の保障は、もちろん大前提だ。自治体によって状況はさまざまなので、一概に否定することも慎まねばならない。しかし教育学者としては、ぜひ再検討をお願いしたいと、声を大にして言いたい。
 教育学のさまざまな研究は、子どもたちの学力保障や学力向上について、授業時間をただ増やせばいいわけではないことを明らかにしている。それはむしろ、子どもたちを疲弊させ、勉強嫌いを増やすことになる危険性さえある。
 子どもたちは、授業時間のせいぜい半分程度しか実際には学習していないという指摘もある。先生の話をただ聞いているだけ、あるいは聞いているふりをしているだけの時間がとても多かったり、また、授業についていけない子、逆に、すでに分かっていて授業を受ける気がしない子も大勢いたりすることが知られている。
 ではどうすればよいか。これも多くの研究が明らかにしているが、一律一斉の授業ではなく、子どもたちが自分に合ったペースや難易度で学びが進められるようにすること、そしてその際、先生や仲間からの、的確なフィードバックや支えが得られる環境を整えることである。
 休校期間中、一律一斉の授業をすることはできなくなった。私はこれを、学校での学びをより意義あるものへと転換するための好機としたいと考えている。
 上に述べたような、個に応じた学びを実現するためのアイデアは、すでに国内外で山ほど蓄積されている。ならば今こそ、「学びの構造転換」の実現に向けて本気でかじを切るべき時ではないか。教育関係者の方々には、「ぜひ一緒に取り組んでいきましょう!」と言いたい。

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