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リニア着工でウェブ会議 10市町の首長ら発言要旨

2020年6月17日 05時00分 (12月27日 19時21分更新)
 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、十六日にあった川勝平太知事と大井川流域十市町長によるウェブ会議で、十市町長の発言要旨は以下の通り。議題は、JR東海の金子慎社長から求められた社長と知事のトップ会談と、今月中に知事の同意が必要とするヤード(作業基地)の整備(追加工事)を認めるべきか否か。 (大橋貴史、牧野新)

◆思いをJRに伝えて

 島田市・染谷絹代市長 これまで流域市町の水に対する思いをJRに伝える機会がなかったので、知事の口からわれわれの熱い思いを伝えてほしい。ヤードの整備の中には、濁水処理施設など、有識者会議の中で決めていないこと、結論が出ていないことも含まれている。有識者会議で科学的な根拠が得られた時点で知事の判断で着手するかを決めてもらいたい。今、私たちがゴーサインを出すのは、不確定要素が多すぎる。受け皿となるJRも今後、流域市町と信頼関係の築ける組織体制や風土をつくっていってほしい。

◆水問題 結論出てない

 川根本町・鈴木敏夫町長 水の減量、減水の議論はまだ結論が出ていない。水を含めた自然環境問題の結論が出るまで、知事は(金子社長と)会うべきではない。国連教育科学文化機関(ユネスコ)のエコパークに指定されている南アルプスは、軟弱地盤。発生土砂の万全な管理や処理をJRに約束させないと、その後、大きな問題が出る。動物や鳥がどこかに行ってしまう可能性がないわけではない。環境アセスメントの結論が出ていないので「待った」をかけた方がいい。

◆住民の懸念をJRに

 牧之原市・杉本基久雄市長 知事がJRに流域住民の懸念をお伝えしてほしい。知事が金子社長に会うことで、国民にもわれわれの課題を伝えられるチャンスになる。ヤードの整備は有識者会議の結論によっては、工事に「手戻り」が生じる可能性もある。三週間あまりで終了する追加工事を、ここで強行というか、やらせてほしいは筋違い。追加工事でありながら「工事の再開」と説明するJRの資料の出し方にも不信感を抱く。

◆開業ありきは不信感

 藤枝市・栗田隆生副市長 JRは二〇二七年開業ありきの進め方では、流域市町の不信感は増すばかりではないか。JRから示されているのは、準備再開ではなく、工事拡大。有識者会議で一定の結論が出るまでは工事を控えるのが妥当だと思う。流域住民が何よりも不安視するのは、命に関わる水に影響が出ること。リニアに反対しているのでなく、水の環境が変わることがないようにしてほしい。それを正確に受け止めてもらいたい。

◆全国的に不安感募る

 掛川市・松井三郎市長 トップ会談は、国土交通省の有識者会議で出た結論を踏まえて、県が態度を決めた上で行うのが本来の筋ではないか。県とJRがぎくしゃくし、全国的には不信感や不安感が募っているのでは、と心配している。トップ会談は、知事が県の態度と流域住民の声をJRに伝える良い機会だ。

◆検討結果を踏まえて

 菊川市・赤堀慎吾副市長 JRが申し出ているヤードの整備は、有識者会議の検討結果を踏まえるのが当然だ。(利水団体と流域市町で構成する)大井川利水関係協議会で二〇一九年五月に、結論が出ていない分は承認できないことを確認した。市内の37%を占める農地を潤し、水道水の九割を占める大井川の水量と水質が変わらないよう強く意見したい。

◆有識者に対して失礼

 袋井市・原田英之市長 ヤードの整備を今、承認するのは有識者会議に対して失礼だ。二〇二七年に間に合わないから進めるという理屈を、JRは言うべきではない。流域市町もJRも、有識者会議に結論を委ねている。結論を待って、良い方法があれば取り入れればいい。

◆科学的根拠で議論を

 御前崎市・柳沢重夫市長 有識者会議でしっかりしたデータに基づいた議論をしているのか、心配している。有識者が科学的根拠に基づいた議論をし、結論を導くことが流域住民の安心につながる。結論が市民に伝わらなければ前には進めず、今、ヤードの整備をすべきでない。JRは二〇二七年の開業を訴えるが、トップ会談では知事が流域住民の考えを金子社長に伝えてほしい。

◆流域市町は共通認識

 焼津市・福与直己副市長 昨年五月末の大井川利水関係協議会の場で、流域市町は共通の認識を持ったと考えている。有識者会議の場で専門的な議論がなされており、その結論が出る前にヤードの整備に着手することは認められない。知事と金子社長の間で議論し、JRの考え方を整理した上で、最終的な判断については、県に委ねたい。

◆追加工事は認めない

 吉田町・田村典彦町長 有識者会議の結論が出るまで、ヤードの整備を認めてはならない。この工事を機に、なし崩し的に本体工事まで進んでいく懸念があり、会議の結論が出るまで棚上げとするべきだ。

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